出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語05-4-251922/01霊主体従辰 姫神の宣示王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
天教山
あらすじ
 天教山では木花姫命を中心に、天道別命、天真道彦命、月照彦神、足真彦神、磐戸別神、祝部神、弘子彦神、太田神が黄金橋の修行を終えて、天眼鏡で三界を見ていた。神人たちは木花姫命より天眼鏡と被面布を与えられ、野立姫命の神教を聞くためにヒマラヤ山に移る。天教山が爆発した。
名称
天道別命 天真道彦命 磐戸別神 太田神 木花姫命 足真彦神 月照彦神 祝部神 弘子彦神
大神 神霊 邪神 野立彦命 野立姫命 霊魂
青木ケ原 火球 現界 黄金橋 三千世界 神界 地上の世界 天眼鏡 天教山 ヒマラヤ山 被面布 幽界 竜宮城
 
本文    文字数=5100

第二五章 姫神の宣示〔二二五〕

 月清く星稀にして、銀河は東南の天より西北に流れ、風は微妙の音楽を奏し、天教山の中腹は霞の帯を引き廻し、海面を見渡せば、浪静にして水面に白色の真帆片帆、東西南北に風をはらんで疾走する様、実に竜宮城の神苑に白鷺の降りたるがごとき光景であつた。
 木花姫命を中心に、天道別命、天真道彦命、月照彦神、足真彦神、磐戸別神、祝部神、弘子彦神、太田神その他の神々は、勇気凛々たる面持にて、いまや黄金橋をあとにしてこの天教山に息を休め、天眼鏡を片手にとりて、上は天を照らし、下は地上を照らし、天地の光景は手にとるごとく、否、神現幽三界の光景は目睫の間に透見し得らるるその面白さに、われを忘れ異口同音に、
『ヤヤヤ大変大変』
と叫ぶもあれば、
『ヤア面白い』
と叫ぶ神人もある。なかに祝部神は頓狂な声を出して、
『ヨウヨウこいつは大変だ、助けてやらねばなるまい』
と一目散に天教山を駆け下らむとする慌て者である。木花姫命は満面に笑を湛へつつ祝部神を『しばし』と呼びとめられた。祝部神は下りかけたる山路をふたたび登り来りながら、右の手をもつて鼻をこすりあげ、右の目縁より左の目尻にかけてつるりと撫で、手の甲にてはなをかみながら、その手を袖にて拭ひ落し、
『これはこれは、真に失礼いたしました』
とお玉杓子のようなる不格好の顔つきして、かるく目礼するのであつた。
 月照彦神は祝部神にむかひ、
『貴下のごとく慌てた挙動にて、いかにして天橋を渡りたまひしか』
と訝しげに問ひかけたまへば、命は雑作なく、
『私は天教山の方のみ見つめてゐましたので、足許などは少しも気にかけませぬ』
と云つて数多の神々を煙にまいた。祝部神はそれでも済ました顔で木花姫命に向ひ、
『私は三界の惨状を目撃してより、一寸の間も安逸に身を置くことは出来ないやうな気になりました。なにとぞ一時もはやく下山を許させたまへ』
といふより早く、木花姫命の宣示も待たず、踵を返してまたもやトントンと青木ケ原に下りゆかむとする。足真彦神は苦笑しながら、
『祝部神、あまり貴下の挙動粗忽に過ぎざるや、未だ大神の御許容なし、自由行動は神人のもつとも慎むべきところならずや』
と声に力を入れて呼び止めた。祝部神はまたもや手ばなをかみながら元の座に現はれた。神々は一度にどつと哄笑し、なかには笑ひこけて腰骨を拳もて叩く神さへもあつた。
 木花姫命は神々を集め、天眼鏡を一面づつ神々に授け、かつ紫、青、赤、白、黄、黒等の被面布を渡し、
『汝諸神人ら、いま現幽二界に出で致りて神言を伝へむとするときは、必ずこの被面布を用ゐたまへ、しかし神界はこの限りに非ず』
といひつつ各神に各色の被面布を渡された。
 茲に神々は八方に手分けなしつつ、神界より野立彦命の神教を宣伝するため、各自変装して地上の神人にむかひ、警告を与ふることとなつた。
 このとき天教山は鳴動しはじめた。音響は時々刻々に強烈となつた。木花姫命は神々に向ひ、
『もはや野立彦命の神教を宣伝すべき神々は、黄金橋のもつとも困難なる修業を終へ、難関を渡りたれば、ふたたび邪神に誑惑せらるることなかるべし。今や当山の鳴動刻々に激烈となるは、火球の世界より大神の神霊ここに現はれたまひて、三千世界一度に開く梅の花、開いて散りて実を結び、スの種を世界に間配る瑞祥の表徴なれば、吾はこれより中腹の青木ケ原に転居せむ、諸神はこれよりヒマラヤ山に集まり、野立姫命の再び神教を拝受し、霊魂に洗練を加へ、もつて完全無欠の宣伝使となり、地上の世界を救済されよ』
と容を改め言葉おごそかに宣示された。遉に優美にして愛情溢るるばかりの木花姫命も、この時ばかりは凛乎として犯すべからざる威厳が備はつてゐた。諸神は思はずその威に打たれて地上に跪づき、感涙に咽んだ。鳴動刻々に激しく、遂には山頂より大爆発をなして中空に火花を散らし、得もいはれぬ光景を呈したのである。あゝ今後の天教山は、いかなる神霊的活動が開始さるるであらうか。

(大正一一・一・一〇 旧大正一〇・一二・一三 加藤明子録)



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