出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語05-4-241922/01霊主体従辰 天の浮橋王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
天の浮橋 天教山
あらすじ
 天の浮橋は金、銀、銅の三段の橋からできており、それぞれ鈎の付いた金、銀、銅の霊線が出ている。金、銀、銅が上、中、下の御魂に対応している。
 最初王仁三郎は銀線に引っ掛けられて、銀の橋の上に引き上げられて、小松林命という神名を与えられ、また、すぐに地上に降ろされた。地上に降りると、黒布をつけないと、ほとんどの人々が猛獣に見えた。
 次に金線に引っ掛けられて、金の橋の上に引き上げられた。橋は手すりもなく、表面はピカピカに磨き上げられて、渡りずらかった。また橋自体も回転していた。これを勇気を持って渡る事で、神業に参加できるテストに合格したことになるのだ。王仁三郎は橋を渡りきり、天教山に立ち、多くの神人にウロー、ウローの声で大歓迎された。
名称
国姫神 木花姫命 瑞月 虎 山狗 狼
王仁 小松林命!
天の浮橋 顕国の玉 銀橋 国の御柱 火球 黄金橋 黒布 高熊山 地球 天教山 銅橋 竜宮城 霊線
 
本文    文字数=7112

第二四章 天の浮橋〔二二四〕

 竜宮城の三重の金殿より顕国玉の神威発揚して、あたかも両刃の剣を立てたるごとき黄金の柱中空に延長し、その末端より発生したる黄金橋はこの柱を中心に東西に延長し、その少しく下方よりは左右に銀橋を発生し、そのまた下方部よりは銅橋を発生して東西に延長し、地球の上面を覆うたことは前述の通りである。
 そして各橋より垂下する金銀銅の霊線の鉤に身体をかけられ、上中下三段の身魂が各自身魂の因縁によつて金銀銅の橋上に救ひ上げられ、或は中途に地上に落下する有様を、訝かしげに眺めつつ見惚れてゐた瑞月の前に、銀色の霊線が下りきたり、その末端の鉤は腹部の帯に引掛るよと見るまに、眼も眩むばかりの速力にて空中に引きあげられた。あまりの恐ろしさに、思はず眼を閉ぢ口を塞ぎ、両手をもつて耳を塞ぎつつあつた。俄に、
『眼を開けよ』
といふ声が、頭上の方にあたつて聞えた。その声に思はず眼を開けば、遥の中空に捲揚げられ、自分は銀橋の上に立たされてゐた。銀橋の上には、ところどころに神人が引き揚げられてゐるのを見た。いづれも恐ろしげに緊張しきつた態度で、地上を瞰下してゐるのであつた。このとき吾頭上にあたつて、
『吾は国姫神なり、汝に今より小松林命といふ神名を与へむ。この綱にすがりて再び地上に降り、汝が両親兄弟朋友知己らに面会して天上の光景を物語り、悔い改めしめ、迷へる神人をして神の道につかしむべし』
と言葉終るとともに頭上より金線は下つてきた。そして国姫神の姿は声のみにて、拝することは出来なかつたのである。下りくる金色の霊線を両手に握るよとみるまに、ガラガラと釣瓶の車をまはすごとき音して地上に釣瓶落しに卸されてしまつた。
 降れば身は何ともいへぬひろびろとした原野に立つてゐた。ここには吾親らしきものも兄弟知己らしき人間もなく、ただ虎、狼、山狗、狐狸の群がところどころに散在してゐるのであつた。不思議にもこれらの猛獣は白壁造りの庫を建てて、或は立派な門構へをなし、美しき広き家に住まつてゐるのである。どう考へても猛獣狐狸の棲むべき住家とは思はれなかつた。これはどうしても人間の住むべき家である。しかるに何ゆゑ、此のごとき獣類のみ住みをるやと、訝かりつつあつた。
 このとき国姫神の声として、
『天上よりこの黒布を与へむ』
と云はるるかと見るまに、黒き布は風にヒラヒラとして吾前に下り来つた。手早くこれを持つて面部を覆うた。黒布を透してその猛獣狐狸の群をながむれば、あにはからむや、いづれも皆立派なる人間ばかりである。中には自分の親しく交はつてゐた朋友も混つてをるには、驚かざるを得なかつた。
 それよりこの黒布を一瞬の間も離すことをせなかつた。そのゆゑは、この眼の障害物を一枚除けば、前述のごとく猛虎や狐狸の姿に変つてしまひ、実に恐ろしくてたまらなかつたからである。
 さうかうする間、またもや天上より吾前に金色の霊線が下つてきた。以前のごとく吾腹帯に鈎は引かかつた。今度はその黒布を手ばやく懐中に入れ、両手を以て確と金色の霊線を掴みながら、前のごとく一瀉千里の勢にて上空に引き揚げられてしまつた。
 やや久しうして、
『眼を開けよ』
と叫びたまふ神の声が聞えた。眼を開けば今度は最高点の黄金橋の上に引き揚げられてゐたのである。まづ安心とあたりを見れば、国姫神は莞爾として四五の従神とともに吾前に現れ、
『この橋は黄金の大橋といひ、また天の浮橋ともいひ、地球の中心火球より金気昇騰して顕国の玉となり、この玉の威徳によりて国の御柱は中空に高く延長し、その頂上は左右に分れ、左は男神の渡るべき橋にして、右は女神の渡る橋なり、この黄金橋は滑にして、少しの油断あらば滑りて再び地に顛落し、滅亡を招くの危険あり。汝は抜身の中に立つごとく心を戒め、一足たりとも油断なく、眼を配り、耳を澄ませ、息を詰め、あらゆる心を配りてこの橋を東方に向つて渡れ。またこの橋は東南西北に空中を旋回す、その旋回の度ごとに橋体震動し、橋上の神人は動もすれば跳飛ばさるる恐れあり、また時には暴風吹ききたつて橋上の神人を吹き落すことあり。欄干もなく、足溜りもなく、橋とはいへど黄金の丸木橋、渡るに難し、渡らねば神の柱となることを得ず、実に難きは神柱たるものの勤めなり』
と言葉嚴かに云ひ渡された。
 王仁は唯々諾々としてその教訓を拝し、東方に向つて覚束なき足下にて、一歩々々跣足のまま歩を進めた。
 忽ち黄金橋は東より南に廻転を初めた。じつに危険身に迫るを覚え、殆ど顔色をなくしてしまつた。このとき何神の御声とも知れず、
『勇猛なれ、果断なれ、毅然として神命を敢行せよ。神は汝の背後にあり、夢恐るるな』
といふ声が耳朶を打つた。
 王仁はこの声を聞くとともに、恐怖心も何も全部払拭され、光風霽月、心天一点の暗翳も留めざる思ひがした。
 金橋はますます廻転を速め、東より南に、南より西へ、西より北へと中空をいと迅速に旋回し、また元の東に戻つた。
 黄金橋の東端は、ある一つの高山に触れた。見ればこれは世界の名山天教山の頂きであつた。このとき木花姫命を初め数多の神人は、吾姿を見て、
『ウローウロー』
と両手を挙げて叫び、歓迎の意を表された。
 いつの間にか王仁の身は天教山の山頂に、神々とともに停立してゐた。金橋は何時のまにか東南隅に方向を変じてゐた。
 時しも山上を吹き捲くる吹雪の寒さに、頬も鼻も千切れるばかりの痛みを感ずるとともに、烈風に吹かれて山上に倒れしその途端に前額部を打ち、両眼より火光が飛び出したと思ふ一刹那、王仁の身は高熊山の岩窟に静坐し、前額部を岩角に打つてゐた。

(大正一一・一・一〇 旧大正一〇・一二・一三 井上留五郎録)



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