出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語05-2-111922/01霊主体従辰 蜃気楼王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
アーメニヤ
あらすじ
 盤古大神以下の神々は忽然と現れたアーメニヤの宮を住処とした。そこへ偽の国治立尊(白狐)と神軍が出現して一行を攻撃しようとした。そこへ、八頭八尾の大蛇が現れると国祖と神軍は消えた。一行が気がつくと、アーメニヤの宮は蜃気楼で、全員泥田の中にいた。
名称
国祖国治立尊? 神軍 盤古大神 八頭八尾の大蛇 八王大神 八百万の神

アーメニヤ ウラル山 神政 地上 天上
 
本文    文字数=3028

第一一章 蜃気楼〔二一一〕

 盤古大神以下の神人は、忽然として現はれたるアーメニヤの宮殿を、万古不易の安住所と定め、各居室を定め、八百万神を配置し神政を行ふこととなつた。天より降つたか、地から湧いたか、知らぬまに荘厳無比の宮殿をはじめ数多の建築物が建てられてゐた。神人らは盤古の神政を祝するために遠近の山に分けいり、種々の珍しき花木を切り来つて、各これをかたげながら宮殿を中心として面白き歌を謡ひ、酒に酔ひながら踊り狂うてゐた。
 時に中空にあたり何神の声ともなく、
『アーメニヤ、アーメニヤ』
と叫ぶ声しきりに聞えた。神人らは期せずして声する方を仰ぎ見た。幾百千とも限りなき神軍は武装を整へ、雲に乗り中空に整列して、その中央には国祖国治立尊の神姿現はれ、采配を振つて神軍を指揮しつつあつた。神人らはその威厳に打たれてたちまち地上に平伏した。何とはなしに身体一面に湿気を感じ、驚きのあまり酒の酔も醒め、ぶるぶると地震の孫のやうに、一斉に震ひだした。このときまたもや天上より、
『盲神ども、足もとを見よ』
と頭からたたきつけるやうな声で云ひ放つた。いづれも驚いて足もとを見ると、またもや泥田の中に盤古大神はじめ、八百万の神人らは泥まみれになつて、のたくつてゐた。ここはアーメニヤの宮殿と、何れも思うて宮殿の方を一斉に見やれば、今まで立派な宮殿と見えしは蜃気楼であつた。見るみる天上に宮殿は舞ひ上り、自分らの姿までも空中に舞ひ上つてしまつた。八王大神はじめ、重なる神将は残らず蜃気楼とともに天上に昇つてゐるのが見える。残された神人らは性を失ひ驚きのあまり、四方八方に泥田の中をうろつき始めた。そのじつ盤古大神も八王大神も天上に影が映つてゐるのみで、依然として深き泥田に乳の辺りまで落ち入り、身動きもならず苦しんでゐた。されど数多の神人らは、盤古大神以下の神将残らず天上に昇りしものと思ひ、右往左往に泥田を走り廻り、盤古大神、八王大神以下の神将を泥足で踏みつけ、一斉に、
『オイオイ』
と泣くばかりである。
 このとき、ウラル山の方面より黒雲を捲き起し、空中を照らし進み来る八頭八尾の大蛇が現はれた。今まで国治立尊以下の神将、天の一方に現はれゐたりしその姿はいつしか消え失せ、八頭八尾の大蛇の火を噴きつつ、満天墨を流したごとく黒雲をもつて包んでしまつた。

(大正一一・一・六 旧大正一〇・一二・九 加藤明子録)



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