出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語04-8-441921/12霊主体従卯 虎の威王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
エルサレム 常世城
あらすじ
 美山彦、国照姫は国祖に大八州彦命他の追放を八百万の神々の支持を力に強硬に迫った。国祖は請求を入れる他はなく、涙ながらに正しい神を追放した。
 夜見の国なる月界に追放された大八州彦命、言霊別命、神国別命、大足彦は四魂合同して国大立命となった。地汐の世界に追放された高照姫命、真澄姫、言霊姫、竜世姫は四魂合同して金勝要之神となった。国大立命、金勝要之神の消息は大自在天系の神々も八王大神系の神々も全く知らなかった。これらの神々は時を得て地表に現れ、現在まで活動を続けている。
 美山彦、国照姫は国祖の退隠は要求できずに帰ったので、八王大神は怒って二人に蟄居を命じた。
名称
大足彦 大八州彦命 神国別命 国照姫 言霊姫 言霊別命 高照姫命 竜世姫 真澄姫 美山彦 八百万の神司
大神 大国彦 金勝要之神 国大立命 国祖 国祖大神 邪神 精霊 大自在天 月の大神 常世彦 八王大神
月界 三千世界 神界 神諭 底の国 体主霊従 地汐の世界 地上 常世城 根の国 五六七神政 夜見の国
 
本文    文字数=4665

第四四章 虎の威〔一九四〕

 美山彦、国照姫は天下万生の代表と自称し、かつ八王大神および大自在天の勢力を笠に着ながら、虎の威を藉る野狐の尾を掉り廻し、傲然として聖地の国祖大宮殿に数多の神人を引率し、常世城の大会議における諸神司の信任と希望とを担ひて、勧告使に選抜されしことを居丈高に吹聴し、ただちに国祖の御前に進み進言すらく、
『今日の美山彦、国照姫は前日のごとき微々たる美山彦、国照姫にあらず、勢望仁徳天下に並びなき、畏くも八王大神常世彦、権勢天下の神人を圧する神力無双の、大自在天大国彦の代表者にして、八百万の神司の代表たる勧告使の重職を担へる美山彦、国照姫なれば、国祖大神におかせられても、必ず粗略の取扱ひあるべからず』
と傍若無人の言辞を弄しながら、
『先づ第一に大八洲彦命以下の頑迷固陋なる神々を、神界平和のため、八王大神の聖意に答ふるため、国祖の神権をもつて御側を追放し、神界攪乱者として根の国底の国に退去を命じたまへ』
と無礼千万にも強力なる後援者あるを楯にして強硬に迫りける。国祖は美山彦にむかひ、
『汝の言果して八王大神および、大自在天その他一般の意見なりとせば、アヽ余また何をか云はむ。至正至直の神人も、天下の平和のためには涙を呑んで馬謖を斬らざるべからざるか』
声涙交々降らせたまひ、感慨無量の御面色に、近く仕へたてまつれる神人らも、美山彦らの従臣らも、涙の袖を絞らぬはなかりける。心弱くては今回の使命は果しがたしとや思ひけむ、やや憂愁に沈まむとせる美山彦を励ましながら、国照姫は国祖の返答をしきりに促したり。国祖も事ここに至りては如何ともなしたまふの余地なく、その請求を容れて大八洲彦命、言霊別命、神国別命、大足彦を根の国に追放したまふことを承認されたりける。
 ここに右の四神司は、国祖の厳命によりて、夜見の国なる月界に神退ひに退はれ、四魂合同して国大立命となり、月の大神の精霊に感じてふたたび地上に降り、千辛万苦を嘗め、五六七神政の基礎的活動を開始されたれど、体主霊従の八王大神および大自在天一派の神人は、一柱としてこの間の消息を知るもの無かりけり。
 次に高照姫命、真澄姫、言霊姫、竜世姫は、大地の底深く地月の世界に神退はれたまひ、地月の精霊に感じて大地中の守護神と現はれ、四魂合同して金勝要之神となり、時を得て地表の世界に出現し、五六七神政の基礎的神業に尽力されつつ太古より現代に至るまで神界にあつて、その活動を続けられつつありしなり。
 されど八王大神系の神司らも、大自在天系の神司らも、一柱としてこの神業を知了し居る者は絶対にあらざりしなり。神諭に、
『昔の神代が環り来て、元の昔の神代に立替るぞよ、三千世界一度に開く梅の花』
などの神示を十分味はふべきなり。
 さて美山彦、国照姫の二人は、右の諸神人を国祖の御神権によつて、追放せしむべきことを、面を犯して強硬に進言し、さいはひにその目的は達したるが、肝腎かなめの国祖の自発的御退隠の勧告に対しては、さすがの邪神も口籠り発言を躊躇し居たり。大神は矢つぎ早に、
『汝の進言はこれにて終れりや』
と問はせたまふに、二使者は大神の威厳に討たれて何心なく、
『もはや申し上ぐることこれ無く候』
と、思はず答申したりける。国祖大神は二使者の答を合図に、ツト立ちて玉の襖を手づから閉ぢ奥殿深く隠れさせたまへり。二柱の使者は奥歯に物の挟まれる如き心地しながら勢なく、その結果を八王大神に奏上したり。八王大神は肝腎の国祖大神に対する自発的御退隠を勧告し能はざりし二人の卑怯を怒り、直ちにこれに蟄居を厳命したれば、夜食に外れた梟鳥面ふくらせながら悄然として退場したりける。

(大正一〇・一二・二九 旧一二・一 出口瑞月)



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