出口王仁三郎 文献検索

リンク用URL http://uro.sblog.jp/kensaku/kihshow.php?KAN=04&HEN=5&SYOU=32&T1=&T2=&T3=&T4=&T5=&T6=&T7=&T8=&CD=

原著名出版年月表題作者その他
物語04-5-321921/12霊主体従卯 免れぬ道王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
エルサレム
あらすじ
 桃上彦が事足姫、天使長広宗彦命、行成彦を呼びに来る。行成彦が国祖の前に参ると、常世彦、常世姫が側に控えていた。国祖は大道別を呼び、「行成彦、大道別他は聖地を大切に思う余り律法を破った」と宣言した。大道別はこれを聞き竜宮海に投身して、その和魂と幸魂琴比良別神となり、荒魂と奇魂は日の出の神となった。広宗彦命は引退して、桃上彦が天使長となった。鬼武彦が「自分は国祖の命令により行動したのに何故天則違反であるのか」と、国祖に問うと、国祖は顔色を変え、八王大神はいやらしく笑った。
 編者注! これは、鬼武彦が八王大神にはめられたことを表しているのだろう。
      5章の総説では大八州彦命たちが独断で行ったと書いています。
名称
白狐旭 鬼武彦 大島別 国治立命 事足姫 白狐高倉 常世彦 常世姫 天使長広宗彦命 桃上彦 行成彦
荒魂 大神 海神 奇魂 国祖大神 琴比良別神 幸魂 和魂 日の出の神 八王大神
神界 神政 大江山(たいこう) 天地の律法 常世城 五六七神政 竜宮海
 
本文    文字数=4656

第三二章 免れぬ道〔一八二〕

 しばらくありて桃上彦は、慌ただしく入りきたりて二人の前に拝跪し、畏れ多くも国治立命より吾母事足姫をはじめ御兄広宗彦命、行成彦にたいし大至急参向すべしとの厳命なりと報告したり。
 桃上彦は天使長広宗彦命の副となりて、神政を補佐し居たりしなるが、つひには兄二柱の愛を忘れ、みづから代つて天使長の聖職に就かむと企て居たるなり。このとき常世姫の来城せるを奇貨とし、たがひに心を合せて兄二柱を排除せむと考へたりける。事足姫は三柱の兄弟の子を伴ひて、国祖大神の正殿に伺候したりしに、国祖の傍には常世姫、常世彦の二神司が行儀正しく左右に侍し居たり。行成彦はこの姿を見て卒倒せむばかりに驚きたり。このとき国祖大神は、言葉おごそかに、
『大道別を吾が前に連れ来れ』
と命ぜられたるにぞ、行成彦は唯々諾々として、この場を退出し稍ありて、大道別を召し連れ国祖の御前にふたたび現はれけり。常世彦は大道別に向つて、
『汝の智略には余も感服したり』
と笑みを浮べて顔をのぞき込めば、大道別は機先を制せられて狼狽したり。国祖の大神は大道別に向ひ、
『汝は神界のために永年の艱難辛苦を嘗め、以て神人たるの天職を全うせしは、我も感謝の念に堪へず。されど汝は智量余りありて徳足らず、偽の八王大神となりてより忽ちその行動を一変し、その約に背きたるは神人として余り賞揚すべき行為にあらず。また行成彦以下の使臣の行動は、聖地を大切に思ふの余り天地の律法を破りたり。汝らは至誠至実の者なれども、如何せむ国祖の職として看過すべからず。アヽ、かかる功臣をば無残にも捨てざるべからざるか』
と落涙にむせびたまふ。大道別は恐縮しながら、国祖大神に目礼し、八王大神その他の神司らに一礼し直ちに御前を退出し、そのまま竜宮海に投身したりける。その和魂、幸魂はたちまち海神と化しぬ。国祖はこれに琴比良別神と名を賜ひ永遠に海上を守らしめたまひ、その荒魂、奇魂をして日の出と名を賜ひ、陸上の守護を命じたまひぬ。琴比良別神および日の出の神の今後の活動は、実に目覚しきものありて、五六七神政の地盤的太柱となり後世ふたたび世に現はるる因縁を有したまへるなり。
 ここに広宗彦命は国祖の御心情を拝察し、責を負ひて天使長の聖職を辞し、弟の桃上彦に譲りける。ちなみに桃上彦の神政経綸の方法は前巻に述べたるごとく、つひには国祖の御上にまで累を及ぼし奉るの端を開きたりける。
 八王大神は常世姫とともに桃上彦の襲職を祝したり。このとき大江山の鬼武彦は、高倉、旭を伴なひ国祖の大前に進み出でて、最敬礼を捧げたるのち、
『今回の常世城における行成彦以下の大功労者をして、退職を命じたまひしは如何なる理由にて候や』
と恐るおそる伺ねたてまつれば、国祖はただ一言、
『汝らの心に問へよ』
と答へたまひける。鬼武彦はやや色をなし、
『鹿猪尽きて猟狗煮らる。吾々は貴神の命によりて常世城に忍び入り八王大神を悩ませ、その陰謀を断念せしめたるのみ。決して行成彦をはじめ一行の使臣は大神に背きて自由行動を取りしにあらず。ただ一点の野心も無く、聖地を守り御神業を輔佐したてまつらむとしての至誠の行動に出たるのみ。また吾は内命によりて、忠実に行動せしは御承知の御事に候はずや』
と少しも畏るる色なく奏上したりける。
 国祖の大神の御顔には何となく驚愕の色表はれたまひぬ。それと同時に八王大神の面上にはいやらしき笑ひがひらめき渡りける。アヽ、国祖大神の顔色と八王大神の顔色との、氷炭の差異を生じたるは、果して何事を物語るものならむか。読者諸氏はこの不思議なる光景につきて十分熟考されむことを望むものなり。

(大正一〇・一二・二五 旧一一・二七 広瀬義邦録)



オニドでるび付原文を読む    オニド霊界物語Web