出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語03-8-281921/12霊主体従寅 苦心惨憺王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
ローマ 竜宮城
あらすじ
 竜宮城の従臣の役人達は国直姫命の昇天後去就に迷う。常世姫はこれらの人を仲間に引き入れ、大八州彦命、言霊別命、神国別に反対の行動をとった。
 ローマが落城寸前となったので、言霊別命はローマ救援に向かう。言霊別命が来たのでローマは持ち直したが、最終的には大国彦の援軍もあり、言霊別命は破れて囚われ常世の国へ送られた。
 常世姫は竜宮城を攪乱させ、大国彦に通じ、大足彦を捕らえた。そして、言霊姫に「竜宮城を退去して万寿山に行けば夫の言霊別命を助ける」ともちかける。言霊姫がこの条件を飲もうとしているとき、広国別、国若姫らの奮闘に神助も加わり、常世姫を常世の国に退去させた。
名称
鬼雲別 大国彦 大島彦 大足彦 大八州彦命 蚊取別 神国別命 国照姫 国代別 国若姫 熊 木糸姫 言霊姫 言霊別命 高杉別 竜国別 田依彦 照代姫 常世彦 常世姫 與彦 與若 広国別 広宮彦 魔我彦 魔我姫 魔軍 真澄姫 松代別 三国別 美山彦
大神 鬼神 国直姫命 八王大神
天の鳥船 地の高天原 常世城 常世の国 万寿山 竜宮城 ローマ
 
本文    文字数=4922

第二八章 苦心惨憺〔一二八〕

 竜宮城の従臣與彦、田依彦、與若、木糸姫、竜国別、三国別、高杉別らの役員等は、国直姫命の上天後、その去就に迷ひつつありける。
 そこへ常世姫は、種々の手段をめぐらしてこれらの神司を自己の部下に引入れ、大八洲彦命、神国別命、大足彦に極力反対の行動を執るにいたれり。
 一方ローマ城内にては、四分五裂の窮状を曝露し、外部よりは八王大神常世彦の強力なる魔軍に包囲され、ほとンど落城せむとするの光景なりき。言霊別命は天の鳥船に乗り、急遽ローマにむかひ直ちに入城したりしが、十二の八王神は、言霊別命の不意の来城にほとンど狼狽の体なりき。ここに言霊別命は城内の諸神将をあつめて統一をはかり、ふたたび勢力を盛返し、協力一致の積極的行動をとりければ、八王大神の魔軍は、その勢力に辟易して退却し、遠方よりこれを包囲監視しつつあるのみなりけり。
 さて地の高天原は、常世姫の横暴きはまる行動に、諸神司は遠く四方に散乱し、常世姫の目の上の瘤はほとンど払はれけり。常世姫は、内は竜宮城を攪乱せしめ、魔我彦、魔我姫、美山彦、国照姫をして大国彦に通じ、大国彦をして外部より竜宮城および地の高天原を攻撃せしめたり。大国彦は松代別、国代別を部将とし、あまたの魔軍を熊と化し、不意にこれを襲ひ、つひに城内くまなく探索して大足彦を捕へ、凱歌を奏して帰陣せり。あとに常世姫は、ほとンど竜宮城の主宰者となり、地の高天原をも蹂躙せむと、着々として歩を進めつつあり。
 このとき大八洲彦命、真澄姫、言霊姫、広国別、広宮彦、照代姫の部将は、地の高天原を厳守して、魔軍に一指をもつけさせざりけり。されど常世姫は執拗にも、高杉別、與彦、與若、魔我彦、魔我姫などを煽動して地の高天原の一角を崩壊せむとし、ほぼその目的を達せむとしたり。
   ○
 このときローマに破れ、一時退却したる常世彦は、到底ローマの容易に陥落せざるを知り鬼雲別、蚊取別らをして、大国彦の力を借り、これを鏖滅せむと図りぬ。大国彦はただちに承諾し、数多の魔軍を二人に与へ、常世彦と共に三方よりローマ城を包囲攻撃したりける。
 このとき万寿山城をのぞく十一の八王神はほとンど遁走し、以下の神卒は四方に散乱したり。言霊別命は敵の猛烈なる攻撃にすこしもひるむ色なく力戦奮闘をつづけたまふ。しかるに火弾は空しく、弓は折れ、矢は尽き、敵のために捕はれ俘虜となり、つひに常世の国に送られける。
 言霊姫は、言霊別命の常世城に囚はれしを憂ひ、大神に祈願されつつありし。
 をりしも常世姫は魔我彦、魔我姫をともなひ、言霊姫の祈れる前に意気揚々として現はれきたり、やや軽侮の色を面色に現はしていふ。
『汝は言霊別命を救はむとする心なきや。汝の決心次第にて、夫の難を救はむ』
と心あり気に口を切りぬ。言霊姫はよろこびて、
『いかにせば夫を救ふ途ありや』
と反問しけるに、魔我姫はここぞと言はむばかりの顔つきにて、肩をいからせながら、
『貴女は竜宮城を明け渡し、大島彦以下の神司を率ゐて、万寿山に転居すべし。しからば妾はその改心の賞として、常世城にます八王大神常世彦に歎願し、言霊別命を救ひ与へむ』
と得意然としていふ。
 ここに言霊姫はその去就に迷はざるを得ざりけるが、魔我彦、魔我姫は、口をそろへて言霊姫の決心をうながすべく、弁にまかせて説きつけたれば、憂ひに沈みたる言霊姫はつひに魔我姫の言にしたがひ、竜宮城を開放し万寿山に遁れむと決心を定め、あまたの従者にその意を伝へしめむとしたりける。
 このとき国若姫、広国別らの神将は、極力これを諫止し、かつ大神に祈り神力をえて、つひに常世姫一派の鬼神をやうやく退場せしめける。常世姫は、ただちに常世の国に馳せ帰り、戦備をととのへ再び捲土重来の期を待ちつつありける。

(大正一〇・一一・二八 旧一〇・二九 外山豊二録)
(第二六章~第二八章 昭和一〇・一・一七 於亀の井旅館 王仁校正)



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