出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語03-11-491921/12霊主体従寅 袖手傍観王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
地の高天原
あらすじ
 沢田彦命は天地の律法が破壊され、高天原の神政が壊滅されようとしていても、傍観的態度をとり、ついには三人の娘を連れて天上に帰ってしまった。沢田彦命は元来、無慈悲で利己的な神であったために、その後は八衡の悪神と成り果てた。
 沢田姫命は広宗彦、行成彦と共に、必死の努力を続けている。出雲姫も神国特有の麻柱の真柱を立てようとしたが、肝心の大本が破れたため回天の神業は完成しなかった。
名称
朝子姫 出雲姫 杵築姫 猿子姫 沢田彦命 沢田姫命 広宗彦 行成彦
大神 魔神
麻柱の真柱 天の八衡 神界 神政 地の高天原 天上 天地の律法
 
本文    文字数=2938

第四九章 袖手傍観〔一四九〕

 沢田彦命、沢田姫命夫婦のあひだに生れたるは杵築姫、朝子姫、猿子姫の三女なりける。
 天地の律法破壊して万妖一時に発起し、つひには地の高天原の神政は、ほとンど潰滅せむとしたるも、沢田彦命は対岸の火災を傍観するごとき態度を持し、少しも神界のために全力を傾注せざりける。ゆゑに妻の沢田姫命は躍起となり、夫にむかつて、
『かかる神界一大事の場合に際し、神界のために、奮発努力して万妖を鎮定し、大神の神慮を安んじ、下神人の苦難を救ふは、貴夫の双肩にかかる大責任なり』
と千言万語をつくして奮起をうながし、かつ諫言し給ひたるに、沢田彦命はその諫言を馬耳東風と聞き流したるのみならず、無責任にも三人の娘を引連れ、妻を地上にのこして空に乗り、ふたたび天上に還りける。沢田姫命は夫子に生別れの辛酸をなめ、あるにあられぬ憂目を味はひ給ひて悲歎やるかたなく、天を仰ぎ地に俯して、夫の一日も早く天より降りて混乱紛糾の神政を修理固成したまへと一生懸命に歎願したり。されど一徹短慮なる沢田彦命は、一旦決心したる以上は初志をまげずと断然はねつけにける。
 ここに広宗彦は、沢田姫命の窮状を察して一方の力となり、神政を輔佐せむと弟の行成彦と議り、沢田姫命にむかつて、
『聖地の神政のかくまで混乱状態に陥りたるについては、吾々にも大責任あれば、袖手傍観するに忍びず、ゆゑに今後は兄上と共に神界のため兄弟一致して神業を助け奉らむ』
と誠実を表に現はし、苦心に苦心を重ね、一時の困難を救ひたりける。
 沢田彦命は天上に昇りて、自由自在に神界の経綸を成さむと焦慮したりしが、元来最愛の妻の至誠のこもれる諫言に立腹し、地の高天原の混乱状態を余所に見流し、難をさけ安きにつき、利己の目的を達することのみに熱中せる無責任にして、かつ無慈悲なる神人なれば、犠牲的精神に欠けゐたるため、何事も志と相反し、つひには天の八衢に現はれて、猛悪なる魔神となり了りける。
 また出雲姫は、天地の律法が神人の怠慢によりて破壊されたるを憂ひ、善行をもつて神人に模範を示さむとの義侠心を振おこし、神国特有の麻柱の真柱を建てむと百方焦慮したまへども、何分にも肝腎要めの大本元破れけるにぞ、回天の神業はつひに完成にいたらざりける。

(大正一〇・一二・一〇 旧一一・一二 松村仙造録)



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