出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語02-6-411921/11霊主体従丑 十六社の祭典王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
シオン山
あらすじ
 シオン山では探女を使った陰謀を察知した祝いとして祭典が行われた。その祭典に、魔神は美しい女性に変化して参加して毒酒をすすめた。神司は皆、毒が回り黒血を吐いて倒れた。その時、十六社より金鵄が飛び出して一同を救った。
名称
天使大八州彦命 金鵄 神軍 女性魔神 宮比彦
悪鬼 鬼雲彦 鬼神 清熊 国照姫 探女 神明 毒蛇 老狐
神楽 シオン山 神饌神酒
 
本文    文字数=3778

第四一章 十六社の祭典〔九一〕

 シオン山は難攻不落の堅城鉄壁にして、如何なる鬼神といへども、これを攻略するは容易の業に非ず。ここに西方の陣を固むる敵将国照姫は鬼雲彦、清熊らと謀り、謀計をもつてこの目的を達せむと画策した。
 しかるにシオン山の本営にては、神明の霊威と、天使大八洲彦命の明察とにより、探女の真相を探知し、危きを免れたる神恩を感謝し、かつ味方の無事を祝福するため、盛大なる祭典が執行された。神軍の過半は祭典に列し、をはつて各もとの守備につき、また半分の余る神軍は交代して、山上の祭典に列する仕組であつた。
 十六社の宮にはおのおの八塩折の酒を大なる甕に充して供進された。敵の軍臣に非ざるものは何神といへども、その当日のみは参拝を許さるることとなつた。
 ここに数多の女性あり、順礼の姿に身を装ひ麗しき顔したる美姫神続々として山上へ登り、この祭典に列し、かつ神威の無限なるを口をきはめて讃美しつつあつた。時しも十六社の祭典は一時に行はれ、神饌神酒を捧ぐるものは若き女性ならざるべからず。しかるに今は戦場のことなれば女性の影もなく、男臣の武者ぶり勇ましけれど、いづれの男臣も何となくあきたらぬ思ひに沈みつつありし時なれば、麗しきあまたの女性の数奇を凝らして参上り来れる姿を見て、大いに喜び、身心をとろかし、中には眉や目尻を下る軍神さへあらはれた。いづれ劣らぬ花紅葉、色香争ふその態に、並ゐる神将神卒も見惚れつつ、戦ひの庭にあることをも打ち忘れてゐた。
 宮比彦はその美しきもつとも年若き女性に向ひ、
『今は戦場のこととて神に仕ふる乙女の一柱だもなし。願はくは汝ら神に至誠奉仕の信仰あらば、直ちに立つて神饌神酒を供せよ。また技芸あるものは立つて神楽を奏し奉れ』
と呼ばはつた。天女に等しき乙女らは一斉に立つて神饌神酒を供し奉り、かつ神楽を奏して神慮を慰め奉つた。祭典の式も無事終了し、諸神司は神卒に至るまで直会の宴に坐し、神饌神酒を拝戴することとなつた。数多の乙女は酒杯の間に往来して盛に取りもつた。酒はおひおひまはつてきた。忽ち呂律の廻らぬ者、眼を剥く者、耳の聞えぬ者、頭の痛む者、手足の痺れる者、吐く者、下痢す者、腹を痛め胸を苦しめ七転八倒黒血を吐く者もできてきた。そこにもここにも石ころのやうに転びまはつて、不思議な手つきをなし虚空を掴んで倒れむとする者も現はれてきた。
 たちまち十六社の神殿鳴動し、各宮々の扉は自然に開かれ、中より数多の金鵄現はれて宴席の上を縦横無尽に飛び舞うた。今まで苦しみつつありし一同は残らず元気恢復して一柱の怪我あやまちもなかつた。今まで花顔柳腰の乙女と見えしは魔神の変化にて、見るみる面相すさまじき悪鬼と化し、あるひは老狐と変じ、毒蛇となつて、四方に逃げ散つた。これは国照姫以下の神軍剿滅の残虐なる奸策であつた。
 ここにシオン山の全軍は、神助により全部その危難を救はれ、以後戦場に酒と女性を入れぬこととなつた。

(大正一〇・一一・六 旧一〇・七 桜井重雄録)



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