出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語02-3-191921/11霊主体従丑 夢の跡王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
竜宮城
あらすじ
 言霊別命は稚桜姫命に反抗する気持ちはなかったので、帰順して竜宮城へ帰ろうとした。しかし、花園彦他の部下は帰順に反対して徹底抗戦を主張した。
 稚桜姫命は再び常世姫を竜宮城に入れて、その常世姫が言霊別命の帰順の仲介をした。稚桜姫命は使いをやり、言霊別命を迎えた。最初、反対していた部下も言霊別命の本心を知りそれに従った。
名称
大島彦 大島別 神倉彦 国照姫 小島別 言霊別命 神軍 杉嶋彦 武彦 常世姫 花園彦 花照彦 花森彦 正照彦 真道彦 溝川彦 美山彦 元照彦 稚桜姫命

天の磐樟船 地の高天原 常世の国 ペテロ モスコー 竜宮城 ローマ
 
本文    文字数=4407

第一九章 夢の跡〔六九〕

 言霊別命は元照彦、武彦と共に辛うじてローマの都に帰還することをえた。ローマは依然として、大島彦に固く守られてゐる。諸神将はおひおひと集まり来り、ともにモスコーに籠城し、持久戦に移らむことを協議した。しかるに敵軍はなほペテロにありて勢侮るべからざる情勢である。諸神将は大挙して竜宮城および地の高天原を占領せむことを密議した。これに先立つてまづペテロ城を亡ばす必要があつたのである。ローマ本営にては士気大いにあがり、すでに天下無敵の概があつた。
 しかるに言霊別命は心底より稚桜姫命に反抗し奉るの意志なく、ただ単にわが神力を示し、小島別以下の諸神司を覚醒せしめむとの誠意より出たるものなれば、この上徒らに戦闘を継続し、彼我の諸神司を苦しむるに及ばず、かつ一方には美山彦、国照姫の一派ありて時を窺ひつつあれば、いたづらに内訌をおこし、味方の勢力を減ずるは策の得たるものに非ず、要するに今次のわが行動は味方の戦闘力を養ひ、もつて演習を試みたるに過ぎず、一時も早く戦ををさめ、稚桜姫命を助け神業に奉仕せむと、ひそかに決心を定めてゐたのである。されど花園彦以下の諸神将は、命の真意を解せず、飽くまで対抗戦を継続せむと、勇み猛りつつあつた。
 稚桜姫命は言霊別命の真意をさとり給はず、あくまで叛旗を翻し野望を達せむとするものと認めたまひ、新に真道彦、神倉彦、花照彦を部将とし、ローマに向はしめむとし給ふたのである。しかして一旦常世の国に追ひかへしたる、常世姫の大功績に愛でこれを赦して、ふたたび竜宮城に帰還せしめたまふた。
 常世姫の信任は復活した。元来常世姫は奸侫邪智にして、抜目なき女性なれば、言霊別命の勢力には到底勝つべからざるを悟り、稚桜姫命に進言して、一時言霊別命を赦し、竜宮城に帰還せしめ、時をはかりてこれを失脚せしめむとの計画をしてゐた。
 稚桜姫命はここに言霊別命の勢力侮りがたきを看破したまひ、花森彦をローマに遣はし、すみやかに帰順せむことを勧告せられた。花森彦は天磐樟船にあまたの神司を従へ、ローマに到着しひそかに言霊別命に謁し、稚桜姫命の御意志を伝へた。言霊別命は内心すでに覚悟しゐたる折柄なれば、喜んでその聖旨を受け、直ちにローマ、モスコーを捨て竜宮城に帰還し、大命を奉じて犬馬の労をとらむことを約し、信書を認めて花森彦の手に渡した。
 花森彦はただちに諸神司とともに帰城し、言霊別命の心底より帰順せることを報告し、かつその信書を捧呈した。
 ここに言霊別命は全神軍をあつめ、真意を伝へ、すみやかに帰城せむことを宣告した。花園彦、元照彦、武彦、大島彦は大いに怒り、その卑怯なる変心を強く詰り、かつ反抗を試み、つひに言霊別命の命に従はず、依然ローマ、モスコーを固守せむことを強硬に述べたてた。命は夜陰ひそかにローマに遁れ、ペテロに向かはれた。ここには稚桜姫命の神使として杉嶋彦来り、常世姫の仲裁によりて、言霊別命の帰順せしことを報告せし後であつた。ペテロに捕虜となりし正照彦、溝川彦は放免された。このとき竜宮城より数多の神使、盛装をこらして礼儀をただして、言霊別命を出迎へ、命は歓呼のうちに帰城せられた。
 一旦帰順を拒みたる花園彦以下の諸神将も、言霊別命の深き神慮をやうやく悟り、つひに言霊別命と行動を共にすることとなり、目出度くこの紛争は終結を告げた。しかしローマには花園彦、モスコーには大島彦が、おのおの帰順してこれを守備してゐた。

(大正一〇・一〇・三一 旧一〇・一 谷口正治録)



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