出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語02-3-181921/11霊主体従丑 反間苦肉の策王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
タカオ山
あらすじ
 小島別と田依彦一派は常世姫と通じた。そして、田依彦はペテロ、常世姫はタカオ山に陣をかまえた。また、伊吹山の八十熊も魔軍に参加した。元照彦、正照彦、言霊別命はタカオ山を攻撃したが、「モスコー、ローマを落とした」という偽の密書を使った国照姫の謀略に危機に陥る。
名称
足熊 岩倉彦 夷彦 大川彦 大島彦 草香姫 熊江姫 小島別 言霊別命 神軍 杉岡 高屋彦 武彦 田依彦 団熊 戸川彦 常世姫 花園彦 魔我彦 魔我姫 魔軍 正照彦 溝川彦 元照彦 安川彦 八十熊 山彦
国照姫 曲津 魔神
伊吹山 大台ケ原山 タカオ山 ペテロ モスコー 竜宮城 ローマ
 
本文    文字数=4688

第一八章 反間苦肉の策〔六八〕

 ここに田依彦、安川彦、草香姫はモスコーに敗れ一時四方に遁走し、つひにペテロに陣営を構へ、竜宮城の神軍と相応じてモスコーを陥落せしめむと計画し、神軍をペテロに集めて再挙を謀つてゐた。
 ローマはもはや安全なればとて、花園彦の謀将大島彦をしてモスコーを守らしめ、言霊別命みづから元照彦、正照彦、溝川彦を督してペテロの魔軍を討伐せむとし、大川彦、戸川彦、高屋彦を各部の将とし、八方よりこれを攻め落さむとした。小島別、田依彦は敵勢の侮りがたきを見て、魔我彦、魔我姫に款を通じ、常世姫を主将として一挙にこれを破砕せむとした。
 ここに常世姫はタカオ山に城塞を構へ、あまたの魔軍を集め、ペテロの田依彦と呼応して言霊別命を挟撃せむとした。小島別、田依彦一派は卑怯にも魔軍に款を通じ、その応援力をもつて敵を悩まさむとしたのである。ここに言霊別命はペテロにむかつて進撃せむとす。このとき伊吹山に逃げ帰りたる八十熊、足熊、熊江姫の一派は、大台ケ原山の恨を報ずるはこの時なりと、常世姫の魔軍に参加し、三方より言霊別命の神軍を殲滅せむとした。神将正照彦、溝川彦は、大川彦、戸川彦、高屋彦とともに軽々しく進みて敵の包囲に遇ひ、力尽きて正照彦、溝川彦は敵の捕虜となり、他の三将以下は戦死を遂げたのである。さても言霊別命は元照彦をして伊吹山を攻撃せしめ、自らは武彦を部将としてタカオ山に迫つた。タカオ山には常世姫立てこもり、岩倉彦といふ勇猛の魔神謀主となり、杉岡、夷彦、山彦、団熊を部将として士気おほいに振ひつつあつた。言霊別命は前方より、武彦は後方より、タカオ山めがけて一目散に押し迫つた。この時タカオ山に向はむとして密かに言霊別命の陣営を横ぎるものがある。怪しみこれを捕へ、
『汝は何ゆゑにこの陣中を横ぎりしか』
と厳しく訊問した。ところがこれは国照姫の間者であつた。懐中せる密書を開き見れば、
『ローマは既に小島別の手に落ちたり。もはや後顧の憂ひなし。貴下はタカオ山に押寄する敵にむかつて暫時これを支へたまへ。吾は近く援軍を出して言霊別命を後方より討滅すべし』
との秘文であつた。言霊別命はその真偽を疑ひ、敵の謀計に非ずやと思案にくるる折しも、後方の陣営にある武彦より、
『ただ今わが軍において敵の間者を捕へこれが懐中を厳査せしに、かかる秘文を所持しゐたり、よつてこれを奉り裁断を乞はむとす』
といふてきた。

  曲神の醜のたくみの深くとも言霊別ぞふみ破りけり

 言霊別命は慌ただしくその秘文を開き見るに、
『モスコーは既に味方の手に入らむとす。貴下はタカオ山の陣営を守り、暫時これを支へたまふべし。吾は直ちに進んでタカオ山を応援し、前後より敵を全滅せむ』
との文意が記されてあつた。この間者は国照姫の謀計に出づるものにして、態とこれを捕らへしめた。
 ここに言霊別命は武彦以下の諸将を集めて議を凝らし、つひに軍を還した。神軍を二隊に分ちて自らはローマに向ひ、武彦をしてモスコーに向はしめた。岩倉彦以下の部将は言霊別命の退却するを見て後方より火弾を投じた。怯気だちたる言霊別命の神軍は諸方に散乱した。武彦は身をもつて免れ、伊吹山に迫れる元照彦に急を報じ、モスコー、ローマの危急に迫り、言霊別命の消息もつとも心許なきを伝へた。元照彦は取るものも取敢ず、伊吹山の囲みを解いて直ちにローマに向はむとした。伊吹山の八十熊一派はこの機に乗じ後方より火弾を投じ、元照彦の神軍を打ち悩ました。元照彦は身をもつて免れた。ローマ及びモスコーの危急に迫れりとの密書は、全然国照姫以下の反間苦肉の策であり、ローマもモスコーも依然として金城鉄壁のごとく安全であつた。

(大正一〇・一〇・三一 旧一〇・一 加藤明子録)



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