出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語02-1-31921/11霊主体従丑 美山彦命の出現王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
竜宮城 安泰山 鬼城山
あらすじ
 本物の美山彦命は大八州彦命の片腕で、ロッキー山に石像を作り、そこにいると見せかけて安泰山に出陣していた。偽の美山彦は竜宮城に来て真澄姫を騙そうとしたが失敗した。そこで、自分を本物と信じる神司を率いて、「竜宮城が邪神に占領された」と偽り、竜宮城を襲おうとしたが、大八州彦命に見破られた。偽の美山彦は、鬼城山に退却した。
名称
天使大八州彦命 香川彦 神山彦 国照姫? 神軍 滝彦 豊彦 広足彦 魔軍 真澄姫 美山彦命? 稚桜姫命 岡野姫
木常姫 高虎姫 棒振彦
天の鳥船 安泰山 鬼城山 竜宮城 ロツキー山
 
本文    文字数=4250

第三章 美山彦命の出現〔五三〕

 ここに天使大八洲彦命、真澄姫のもつとも信頼せる神人に、美山彦命という智勇兼備の神将があつた。この神人は常に帷幄に参じて、すべての画策を大八洲彦命にすすめてゐた。竜宮城の神司は、大八洲彦命の参謀にして、かつ信任ある美山彦命のあることは仄かに聞いてゐたが、その風貌に接した神司は一柱もなかつた。しかしいつとはなしに美山彦命の智勇兼備の声望は、大八洲彦命の驍名とともに広く世界に喧伝されてゐた。
 奸悪なる棒振彦はその消息を知つて、ここに美山彦命と名を偽り、また木常姫の再来なる高虎姫は美山彦命の妻神国照姫と偽り名乗つた。しかるに真正の美山彦命は、大八洲彦命、真澄姫の内命によりロツキー山に立てこもり、魔軍の内情を偵察してゐた。このとき、美山彦命の使として、岡野姫は天の鳥船に乗りて竜宮城にきたり、
『ロツキー山は棒振彦、高虎姫の魔軍のために八方より包囲せられ、美山彦命は危機一髪のあひだに立てり、一時もはやく真澄姫は援軍を率ゐて来りたまへ』
と密告した。真澄姫は大いに訝かり、
『われはかよわき女なり、しかるに大八洲彦命を差し措き、われに救援のため出陣を乞ひきたるとは、実にその意をえず』
として直ちにこの由を稚桜姫命に奏上したまうた。この美山彦命は全くの偽名であつて、実際は棒振彦の計略であつた。
 稚桜姫命は、この密書を怪しみ、大八洲彦命に報告された。大八洲彦命はただちに敵の奸策なることを看破された。このゆゑは、真の美山彦命は神示によつて、東方に位する安泰山に第二の陣営をつくり、既に出陣してをつたからである。そして後には岩をもつてわが姿をつくり、また諸々の従臣の形をも岩にて作り、これをロツキー山の城塞に立ておいたのである。
 一方、ロツキー山に駐屯せる美山彦命の危急は迫れりと伝へ聞きたる神司は、とるもの取りあへず、ロツキー山さしてめいめい神軍を引率し救援にむかうた。そのとき棒振彦、高虎姫は、山腹に待ち伏せ、みづから美山彦命、国照姫と称し、あまたの正しき神司を誑かしてわが勢力を集めむとした。味方の神将香川彦、広足彦、滝彦、豊彦、神山彦はそれを真の美山彦命と信じ、率先して棒振彦の魔軍に加はつた。美山彦(棒振彦の偽名)は諸神司に向つて、
『竜宮城はすでに棒振彦、高虎姫の手に陥れり。これより進んで竜宮城を回復し、稚桜姫命以下の諸神司を救ひ奉らむ』
と、いかにも言葉たくみに諸神司を詐り、反対にふたたび竜宮城に迫らむとした。
 この時、大八洲彦命は安泰山の美山彦命とともにロツキー山の麓に現はれ、
『真の美山彦命はここにあり』
と大音声に呼はりたまえば、棒振彦、高虎姫は謀計の破れたるに驚き、散乱せむとする魔軍をかきあつめ、西方の海に向つて姿を隠した。かくして悪神の計画は見事失敗に帰した。
 一旦棒振彦を真の美山彦命と信じて参加した諸神将は、ここに全く夢のさめたるごとく、大八洲彦命にその不覚不識を謝し、美山彦命にしたがひて安泰山に出軍した。このとき早くも、ロツキー山は棒振彦の占領するところとなつてゐた。しかるに美山彦命以下の石像より常に火を発して、棒振彦の魔軍を滅茶々々になやませしかば、棒振彦はつひにロツキー山を捨てて、鬼城山の高虎姫の陣営に退却するの止むをえざるに立ちいたつた。

  こがらしや犬のほえつく壁の蓑

(大正一〇・一〇・二七 旧九・二七 桜井重雄録)



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