出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語02-1-21921/11霊主体従丑 邪神の再来王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
地の高天原
あらすじ
 棒振彦は竹熊の再来で、美山彦の偽名を使い、高虎姫は木常姫の再来で、国照姫と偽名を使った。美山彦の妻の玉能姫が自殺したので、国照姫は部下の小杉姫を美山彦の妻とした。
 しかし、小杉姫は美山彦の悪企みに気がついていて、事あれば大八州彦命に報告しようとしていたため、棒振彦・高虎姫は、鷹姫を使い、小杉姫をきたない手で追放した。
名称
国照姫? 小杉姫 猿飛彦 鷹姫 玉能姫 美山彦?
艮の金神 大八州彦命 国治立命 木常姫 神軍 高虎姫 竹熊 盤古大神塩長彦 棒振彦 八王大神常世彦
紅海 神政
 
本文    文字数=3851

第二章 邪神の再来〔五二〕

 ここに竹熊の再来なる棒振彦と木常姫の再来なる高虎姫は八王大神常世彦を謀主とし、盤古大神塩長彦の神政に覆さむと欲し、艮の金神国治立命を地上より退去せしめむとする一念は、竹熊の時よりも一層激烈の度を増した。棒振彦はここに美山彦と名を変じ、高虎姫は国照姫と偽名して、大八洲彦命の部下の神軍を欺く手段をとつた。
 この偽美山彦には温順にして正直一途の玉能姫といふ妻神があつた。美山彦の行動を見て、天地の道理に背反せるを歎き、しばしば涙とともに善道に立帰らむことを諫めた。
 しかるに美山彦は妻の諫言を一言も耳に入れず、偽国照姫とともに種々の悪策を凝議しつつあつた。玉能姫は夫の心を改めしめむと焦心し、一通の遺書を残し紅海に身を投げて帰幽した。後に美山彦はわが目的の妨害者の亡び失せたるをかへつて愉快となし、偽国照姫とともに相謀りて最初の大望を達せむとした。
 ここに国照姫は、自分の部下にしてもつとも奸智に長たる小杉姫を美山彦の正妻とした。小杉姫は奸智にたける女なれば、棒振彦、高虎姫の奸計を探知しながら、素知らぬ顔をしてゐた。小杉姫の心中には万一の場合、その悪計を、憤怒の極点に達したるとき、これを大八洲彦命に内々奏上し、もつてその恨みを報ずるの準備としてゐた。アゝ女の瞋恚ほど世に恐ろしいものはない。
 棒振彦、高虎姫は小杉姫の心中穏かならざる色あるを怪しみ、小杉姫の侍女鷹姫をして、その心中を探らしめた。
 あるとき鷹姫は小杉姫にしたがひ、美はしき丘上に上り、散歩を試みながら無花果の実を採つて遊んだ。ふたりは山の頂に草をしきて坐し、四方山の景色を賞めつつ、
『世の中に多くの神司ゐませども貴女のごとき幸福なる御方は外に一柱もゐまさざるべし。げに親しき睦じき御夫婦の間柄にましますこそ羨ましさの限りよ』
と言葉たくみに小杉姫の心中を探り、その返答やいかにと、顔をながめて待侘びた。小杉姫は自分の信ずる鷹姫の言なれば、心措きなく小声になつて、あたりを見廻しながら、耳に口をあて、棒振彦と高虎姫との悪逆無道の計画を、瞋恚の念とともに打明けた。ここに鷹姫は、
『貴女の御立腹は実にごもつとも。妾は実に同情の念にたへませぬ』
と額に袖をあてて空泣きに泣きながら、
『妾は貴女のためには生命に代へても充分の力を添へ、おふたりの仲を割き、もつて貴神に安心をえさせ奉らむ。今後は何事にても介意なく仰せられたし』
と忠義さうにいつた。賢明なやうでもさすがは女の浅はかさ、鷹姫の詐術に深く陥つたのである。
 心きたなき鷹姫は棒振彦、高虎姫にむかつて、小杉姫の心中ならびに一切の秘密を密告した。ふたりは大いに驚き大事の前の小事油断は大敵なりと、鷹姫をして謀計をもつて小杉姫を逐はしめた。ここに鷹姫はふたりの寵を得、つひに抜擢されて謀議に参ずるにいたつた。これより棒振彦、高虎姫、鷹姫は三つ巴となつて陰謀成就のために、大活動をはじめたのである。さうして高虎姫には立派なる猿飛彦という夫があつた。

(大正一〇・一〇・二七 旧九・二七 外山豊二録)



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