出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語01-5-501921/10霊主体従子 死海の出現王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
シオン山
あらすじ
 国常立尊は大八州彦命、稚姫君命に霊国天使の位与えた。
 竹熊は高杉別、森鷹彦の変心を恨み、二人を滅ぼすためにはまず大八州彦命を滅ぼそうとした。そこで木常姫と手を組んだ。大八州彦命は天から与えられた頭槌の玉の威力で、竹熊、木常姫を滅ぼした。
 竹熊の霊魂は死海の怨霊となった。その後棒振彦となる。木常姫も滅ぼされた。その後、高虎姫となる。竹熊の玉は、死海に沈み、歳月を経て、舞い上がり、世界の各地に落ちて、あらゆる生物を苦しめている。黄金水の玉も、竹熊の血に汚されて、悪霊になった。
名称
天明彦命 牛熊 牛姫 大虎彦 大八州彦命 香川彦 菊姫 金勝要神 国常立尊 黒竜 木常姫 佐倉彦 探女 猿飛彦 邪鬼 高杉別 高虎姫 鷹姫 竹熊 天軍 時代彦 戸山彦 中裂彦 花照彦 花照姫 速国彦 未姫命 棒振彦 魔鬼彦 魔軍 松山彦 森鷹彦 黄竜 稚姫君命
悪霊(神) 悪鬼 悪霊 鬼熊 鬼姫 大神 国魂 死神 邪気 邪霊 瑞月 精霊 天使 天神 天上 霊魂 霊国天使 怨霊
天の逆鉾 ウラル山 エデンの城 鬼城山 頭槌の玉 シオン山 死海 高熊山 バイカル湖 禊 竜宮城 黄金水
 
本文    文字数=5954

第五〇章 死海の出現〔五〇〕

 鬼熊、鬼姫は竹熊との戦ひに敗れ、ウラル山およびバイカル湖の悪鬼邪霊となり、一時はその影を潜め、ために竜宮城はやや安静になつてきた。
 国常立尊は大八洲彦命および稚姫君命の功績を賞し、ここに霊国天使の神位を授けたまうた。さても竹熊は高杉別、森鷹彦の変心に恨みを呑み、いかにもしてふたりを亡ぼし仇を報ぜむと企てた。ついては第一にまたもや天使大八洲彦命を滅ぼすの必要を感じたのである。
 今や竹熊はエデンの城塞を回復し、中裂彦、大虎彦を部将とし、牛熊、牛姫を参謀として再び事を挙げむとし、鬼城山に割拠せる木常姫の応援軍を必要とした。木常姫は魔鬼彦、鷹姫、松山彦らの部将を督し、前後より天使大八洲彦命を攻撃せむと計画を回らしつつあつた。
 大八洲彦命は猿飛彦、菊姫の密告により竹熊、木常姫の反逆的挙兵の消息を知り、竜宮城は、花照彦、花照姫、香川彦、速国彦、戸山彦、佐倉彦の部将をして城の各門を守らしめた。もはや後顧の憂ひなければ、ここに大八洲彦命は高杉別、森鷹彦、時代彦の部将とともに神命を奉じて、シオン山に向つて出発した。この用務は大神の神勅を諸天神へ報告のためであつた。諸天神は命の報告を聞き、天軍を起して竹熊、木常姫の暴逆を懲すの神策を定めたまうた。時しも天上より天使天明彦命あまたの天軍を従へ、シオン山頂の高原に下り、大八洲彦命に向ひ、
『危機一髪の場合は天軍の応援をなさむ、されど竹熊、木常姫の魔軍は決して恐るるに足らず』
とて金色の頭槌をもつて地上を打ちたまへば、シオン山の地上より瑞気顕はれ天に舞ひ上り再び大八洲彦命の前に降下した。これを頭槌の玉といふ。
 かくして三個の玉を鳴り出で給ひ、「この精霊をもつて魔軍を掃蕩せよ」との言葉とともに、天明彦命は群神を率ゐて天使は天に還らせたまうた。大八洲彦命は天を拝し地に伏して、神恩の洪大無辺なるに感謝された。
 竹熊、木常姫は全力を尽して前後左右より竜宮城を取り囲んだ。勇猛なる香川彦以下の神司は全力を挙げてこれを撃退し、押し寄する敵の魔軍はあるひは傷つきあるひは倒れ、全軍の三分の一を失つた。時に探女あり、「天使大八洲彦命は、シオン山に在り」と密告した。竹熊、木常姫は時を移さず、黒雲を起し風を呼び、シオン山の空をめがけて驀地に攻め寄せた。
 この時、大八洲彦命は天明彦命より賜はりし頭槌の玉を一つ取りだし、竹熊の魔軍にむかつて空中高く投げ打ちたまへば、その玉は爆発して数万の黄竜となり、竹熊に前後左右より迫つた。この空中の戦ひに竹熊は通力を失ひ、真贋十二個の玉とともに無惨にも地上へ墜落し、たちまち黒竜と変じ、地上に打ち倒れた。しばらくあつて竹熊は起上がり、ふたたび魔軍を起して防戦せむとする折しも、天上より金勝要神、未姫命の二柱の女神は、天の逆鉾を竹熊が頭上目がけて投げ下したまうた。一個は竹熊の頭にあたり一個は背にあたり、その場に倒れ黒血を吐き、ここに敢なき終焉を告げた。
 竹熊の血は溢れて湖水となつた。これを死海といふ。竹熊の霊魂はその後死海の怨霊となつた。死海の水は苦くして、からく粘着性を帯ぶるは、天の逆鉾の精気と血のりの精の結晶である。竹熊の霊はふたたび化して棒振彦となり、天使大八洲彦命を執念深く幾度も悩ました。竹熊部下の悪霊もまたこの湖水の邪鬼となつた。そしてその怨霊は世界に拡まり、後世に至るまで、種々の祟りをなすにいたつた。その方法は淵、河、池、海などに人を誘ひ、死神となつてとり憑き溺死せしめるのである。故にこの湖水を禊身の神業をもつて清めざれば、世界に溺死人の跡は絶たぬであらう。
 シオン山の後方の天より襲ひきたる最も猛烈なる木常姫の魔軍に対して、大八洲彦命は第二の頭槌の玉を空中に投げ捨てたまへば、たちまち爆裂し、木常姫の一軍は神威におそれ狼狽の極、死海の周囲に屹立せる禿山の山上に墜落し、岬角に傷つき、最後を遂げた。木常姫の霊はふたたび変じて高虎姫となり、棒振彦とともに、大八洲彦命を絶対的に悩まさむとした一切の径路は、おひおひ述ぶるところによつて判明する。
 竹熊の所持せる十個の玉と、二個の偽玉は一旦死海に沈み、歳月を経ておひおひに雲気となつて舞ひ上り、世界の各地に墜落し邪気を散布し、あらゆる生物を困ましめたのである。さしもの黄金水より出でたる十個の宝玉も、竹熊の血に汚されて悪霊と変じ、諸国に散乱して種々の悪事を現出せしむる悪玉と変化したのである。この玉の散布せる地は最も国魂の悪き国土である。
 天の一方より村雲押開きて天使の群、幾百千となく現はれ、地上に漸次降りくるよと見るまに、瑞月の身体はたちまち極寒を感じ、ふと眼を開けば、身は高熊山の巌窟の前に寒風に曝されてゐた。

(大正一〇・一〇・二六 旧九・二六 桜井重雄録)



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