出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語01-5-461921/10霊主体従子 一島の一松王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
竜宮城
あらすじ
 玉を守るために、森鷹彦と高杉別は一計を案じた。森鷹彦玉を大八州彦命に奉り、高杉別は玉を一つ島の一松の下に隠し、偽玉を持って竹熊に帰順した。
名称
鬼彦 杉高 高杉別 竹熊 武熊別 森鷹彦
大八州彦命
一つ島 一つ松 竜宮城
 
本文    文字数=3591

第四六章 一島の一松〔四六〕

 ここに竹熊は武熊別と共に、あまたの者を集め、大祝宴を張つた。その理由は、十二個の宝玉はわが神智神策をもつて十個まで手に入れたり、余すところただ二個のみ。いかなる神力の強き神人なりとて、これを奪取するに何の苦心かあらむと、おのが智略に誇り、ここに一同を集め祝宴を張つてゐた。
 時しも末席より鬼彦肩を揺りながら立ち現はれ、竹熊、武熊別の前に出で、
『今日は実に大慶至極の日なり。しかるによき事の続けばつづくものかな。ただ今竜宮城より高杉別、森鷹彦の二神司、二個の玉を持ち献上せむことを申込みたり。いかが取計らつてよかるべきや』
と述べた。酒宴の酒に酔ひて酔眼朦朧たる竹熊らは、願望成就の時節到来と欣喜雀躍し、ともかく二神司を引見せむことを承諾した。ややありて高杉別、森鷹彦は侍者の案内に伴れて、殿中深く竹熊の前に現はれ一礼をなし、かつおのおの玉を献上せむことを申込んだ。
 竹熊は胸を躍らせた。注意深き武熊別は二神司にむかひ、
『この貴重なる竜宮城の神宝を何ゆゑ吾らに譲与せらるるや。その理由を聞かまほし』
と詰つた。二神司は喜色満面を粧ひながら、おもむろに答ふるやう、
『貴下等の神算鬼謀は吾らをして舌を巻かしむるに足る。既に十個の玉は貴下の手に入れり。われ二個の玉を以て貴下と争ふといへども、十対二の比例をもつて、何ぞよく貴下の軍に勝たむや。それよりも潔く吾らはこの玉を貴下に献じ、たがひに和親を結び、もつて天下泰平を祈らむのみ』
と、言葉涼しく答ふるのであつた。
 竹熊は二個の玉を熟視して大いに驚き、その光沢に感激止まなかつた。このとき高杉別、森鷹彦は言葉を設けて曰く、
『この玉は十二個のうち特殊の神力あり、故に悪臭に触れ、悪風にあたらば霊力迸出して何の効用もなさじ。いづれの者にも拝観を許さず、ただちに函を作り十重二十重にこれをつつみて奥殿深く奉安し、危機一髪の場合にこれを使用したまへ』
と述べた。竹熊も武熊別も二神の誠意を疑はず、ただちに言のごとくこれを幾重にも函に包み、固く封じて奥殿深く蔵めたのである。
 しかるにこの玉は真赤な偽玉であつた。注意深き二神司は竹熊の機先を制し、もつて真玉の奪取を免れたのである。その後高杉別、森鷹彦は竹熊の気にいりとなり、重く用ゐられた。しかして真正の玉は、森鷹彦は大八洲彦命に献り、高杉別は従臣の杉高に命じ、口に呑ましめて地中海に羅列せる嶋嶼にこれを永遠に秘蔵し、杉高をこの島の守護神に任命した。一つ島に堅き岩窟を掘り、玉を深く蔵め、その上に標の松を植ゑておいた。これを一つ島の一つ松といふ。
 これより二神司は竹熊の信任をえ、武熊別と列んで三羽烏と称せられ、帷幕に参ずるにいたつた。アゝ今後の高杉別、森鷹彦は如何なる行動に出づるであらうか。

(大正一〇・一〇・二五 旧九・二五 外山豊二録)



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