出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語01-5-381921/10霊主体従子 黄金水の精王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
シオンの山 竜宮城
あらすじ
 顕国の御玉はある貴い神の精霊体であった。
 稚姫君命・大八州彦命・金勝要神は舟を作り、顕国の御玉を奉戴して竜宮城に帰った。また、従神に命じて、シオンの滝の水を汲ませて竜宮城の井戸に入れた。この水を黄金水という。黄金水より12個の玉が生れ、12人の神司に祭らせた。この珠は12個揃わないと神力を発揮しない。
 竹熊は大神に救われた恩を忘れ、顕国の御玉を曇らせ無用にしようとした。まず最初に12個の玉を奪おうとする。
名称
大神 大八州彦命 神彦 亀若 金勝要神 国常立尊 猿彦 杉生彦 高倉 高杉別 竹熊 玉彦 田依彦 鶴若 時彦 曲津神 森鷹彦 芳彦 稚姫君命
精霊体
葦原の瑞穂国 天の岩戸開き 天の真奈井 顕国の御玉 金色の鵄 シオン山 シオンの滝 五六七神政 竜宮城 黄金水
 
本文    文字数=4015

第三八章 黄金水の精〔三八〕

 ここに稚姫君命、金勝要神、大八洲彦命は歓喜のあまり、シオン山の大峡小峡の木を切り新しき御船をつくり、また珠をおさむる白木の御輿をしつらへ、恭しく顕国の御玉を奉按し、これを御輿もろとも御船の正中に安置し、安河を下りて竜宮城に帰還し、三重の金殿に深く秘蔵したまうた。この御玉はある尊貴なる神の御精霊体である。
 話はもとへかへつて、高杉別、森鷹彦は大神の命を奉じ、黄金造の器にシオンの滝の清泉を盛り、御輿の前後に扈従し目出度く帰城したまひ、この清泉は命の指揮の下に竜宮城の真奈井に注ぎ入れられた。それよりこの水を黄金水といふ。
 顕国の御玉の竜宮城に御安着とともに、三方より不思議にも黒煙天に冲して濛々と立ち騰り、竜宮城は今将に焼け落ちむとする勢である。この時たちまち彼の真奈井より黄金水は竜の天に昇るがごとく中天に噴きあがり、大雨となつて降り下り、立ち上る猛火を鎮定した。竜宮城の後の光景は不審にも何の変異もなく、依然として元形をとどめてゐた。
 金剛不壊の顕国の御玉は、時々刻々に光度を増し、一時に数百の太陽の現はれしごとく、神人皆その光徳の眩ゆさに眼を開く能はず、万一眼を開くときは失明するにいたるくらゐである。
 ここに国常立尊は、神威の赫灼たるに驚喜したまひしが、さりとてこのまま竜宮城にあからさまに奉祭することを躊躇したまひ、天運の循環しきたるまで、至堅至牢なる三重の金殿に八重畳を布き、その上に御輿もろとも安置し、十二重の戸帳をもつてこれを掩ひ深く秘斎したまうた。
 それより三重の金殿はにはかに光を増し、その光は上は天を照し、下は葦原の瑞穂国隈なく照り輝くにいたつた。金色の鵄は常に金殿の上空に翺翔し、天地の諸善神、時に集まりきたつて、微妙の音楽を奏し遊び戯れたまふ、実に五六七神世の実現、天の岩戸開きの光景もかくやと思はるるばかりである。
 天の真奈井の清泉はにはかに金色と変じ、その水の精は、十二個の美しき玉となつて中空に舞ひ上り、種々の色と変じ、ふたたび地上に降下した。このとき眼ざとくも田依彦、玉彦、芳彦、神彦、鶴若、亀若、高倉、杉生彦、高杉別、森高彦、猿彦、時彦の十二の神司は争うてこれを拾ひ、各自に珍蔵して天運循環の好期を待たむとした。
 この十二の玉はおのおの特徴を備へ、神変不可思議の神力を具有せるものである。
 ここに竹熊の一派は、危急を救はれし大神の厚恩を無視し、生来の野心をますます増長し、金殿に安置せる顕国の御玉を涜しくもらせ、無用の長物たらしめむとして四方の曲津神と語らひ、なほ懲りずまに計画を廻らしてゐた。この目的を達するには、その第一着手として黄金水の精より成り出でたる十二個の玉を手に入れねばならぬ。この玉をことごとく手に握れば、彼らの目的は達するものと深く信じたからである。ここにおいて竹熊は、将を射むとするものは先づその馬を射よとの戦法を応用せむとし、あらゆる方策を講じて竜宮城の従臣なる十二柱の神司を説き落し、あるひは討ち亡ぼして、その玉をいよいよ奪ひ取らむとした。この玉は十二個のうち、一個不足しても何の用をもなさないのである。

(大正一〇・一〇・二三 旧九・二三 谷口正治録)



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