出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語01-1-111921/10霊主体従子 大幣の霊験王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
水獄の第二段
あらすじ
 金勝要神に大幣を与えられ、池におちた大勢の亡者を救う。また、巨大な洋館で、槍に突き刺されている大勢の女子の亡者を救う。それぞれの亡者は、産土の神に連れられて行った。
名称
氏子 産土の神 王仁三郎* 金勝要神 怪蛇 毒蛇 中の鬼 畑の鬼 亡人 松の鬼 三ツ葉! 冥官 冥卒
幽体 氏子 祓戸大神 舟木
大幣 比礼
 
本文    文字数=3680

第一一章 大幣の霊験〔一一〕

 一歩々々辛うじて前進すると、広大な池があつた。池の中には全部いやらしい毛虫がウザウザしてをる。その中に混つて馬の首を四ツ合せたやうな顔をした蛇体で角が生えたものが、舌をペロペロ吐き出してをる。この広い池には、細い細い氷の橋が一筋長く向ふ側へ渡してあるばかりである。後から「松」「中」「畑」といふ鬼が十字形の尖つた槍をもつて突きにくるので、前へすすむより仕方はない。十人が十人ながら、池へすべり落て毛虫に刺され、どれもこれも全身腫あがつて、痛さと寒さに苦悶の声をしぼり、虫の鳴くやうに呻つてをる状態は、ほとんど瀕死の病人同様である。その上、怪蛇が一人々々カブツとくはへては吐きだし、骨も肉も搾つたやうにいぢめてをる。自分もこの橋を渡らねばならぬ。自分は幸に首尾よく渡りうるも、連の人々はどうするであらうかと心配でならぬ。躊躇逡巡進みかねたるところへ、「三葉殿」と頭の上から優しい女の声が聞えて、たちまち一本の大幣が前に降つてきた。手早く手にとつて、思はず「祓戸大神祓ひたまへ清めたまへ」と唱へた。広い池はたちまち平原と化し、鬼も怪蛇も姿を消してしまつた。数万人の老若男女の幽体はたちまち蘇生したやうに元気な顔をして、一斉に「三ツ葉様」と叫んだ。その声は、天地も崩れんばかりであつた。各人の産土の神は綺羅星のごとくに出現したまひ、自分の氏子々々を引連れ、歓び勇んで帰つて行かれる有難さ。
 自分は比礼の神器を舟木に渡して、困つてをつたところへ、金勝要神より、大幣をたまはつたので、百万の援軍を得たる心地して、名も知れぬ平原をただ一人またもや進んで行く。
 一つの巨大な洋館が、儼然として高く雲表にそびえ立つてをる。門口には厳めしき冥官が鏡のやうな眼を見張つて、前後左右に首をめぐらし監視してをる。部下の冥卒が数限りもなく現はれ、各自に亡人を酷遇するその光景は筆紙につくされない惨酷さである。自分は大幣を振りながら、館内へ歩をすすめた。冥官も、冥卒もただ黙して自分の通行するのを知らぬふうをしてゐる。「キヤツキヤツ」と叫ぶ声にふりかへると、沢山の婦女子が口から血を吐いたり、槍で腹部を突き刺されたり、赤児の群に全身の血を吸はれたり、毒蛇に首を捲かれたりして、悲鳴をあげ七転八倒してゐた。冥卒が竹槍の穂で、頭といはず、腹といはず、身体処かまはず突きさす恐ろしさ、血は流れて滝となり、異臭を放ち、惨状目もあてられぬ光景である。またもや大幣を左右左に二三回振りまはした。今までのすさまじき幕はとざされ、婦女子の多勢が自分の脚下に涙を流して集まりきたり、中には身体に口をつけ「三ツ葉様、有難う、辱なう」と、異口同音に嬉し泣きに泣いてをる。一天たちまち明光現はれ、各人の産土神は氏子を伴なひ、合掌しながら、光とともにどこともなく帰らせたまうた。天の一方には歓喜にみちた声が聞える。声は次第に遠ざかつて終には風の音のみ耳へ浸みこむ。


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