出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語01-1-101921/10霊主体従子 二段目の水獄王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
水獄の第二段
あらすじ
 芙蓉仙人が二段目の水獄の扉を開けた。そこは血生臭い地獄で、王仁三郎は、宗教家、教育家、思想家、新聞雑誌記者、医業者などを助けた。
名称
医業者 王仁三郎* 教育家 宗教家 思想家 新聞雑誌記者 芙蓉仙人 三ツ葉!
天照大神 大神
言霊 比礼
 
本文    文字数=2320

第一〇章 二段目の水獄〔一〇〕

 自分は寒さと寂しさにただ一人、「天照大神」の神号を唱へ奉ると、にはかに全身暖かくなり、空中に神光輝きわたる間もなく、芙蓉仙人が眼前に現はれた。あまりの嬉しさに近寄り抱付かうとすれば、仙人はつひに見たこともない険悪な顔色をして、
『いけませぬ。大王の命なれば、三ツ葉殿、吾に近寄つては今までの修業は水泡に帰すべし。これにて一段目は大略探険されしならむ。第二段の門扉を開くために来たれり』
と言ひも終らぬに、早くもギイーと怪しい音がした一刹那、自分は門内に投込まれてゐた。仙人の影はそこらに無い。
 ヒヤヒヤとする氷結した暗い途を倒つ転びつ、地の底へ地の底へとすべりこんだ。暗黒で何一つ見えぬが、前後左右に何とも言へぬ苦悶の声がする。はるか前方に、女の苦しさうな叫び声が聞える。血醒さい臭気が鼻を衝いて、胸が悪くて嘔吐を催してくる。たちまち脚元がすべつて、何百間とも知れぬやうな深い地底へ急転直落した。腰も足も頭も顔も岩角に打たれて血塗になつた。神名を奉唱すると、自分の四辺数十間ばかりがやや明るくなつてきた。自分は身体一面の傷を見て大いに驚き「惟神霊幸倍坐世」を二度繰返して、手に息をかけ全身を撫でさすつてみた。神徳たちまち現はれ、傷も痛みも全部恢復した。ただちに大神様に拍手し感謝した。言霊の神力で四辺遠く暗は晴れわたり、にはかに陽気づいてきた。
 再び上の方で、ギイーと音がした瞬間に、十二三人の男女が転落して自分の脚下に現はれ、「助けて助けて」としきりに合掌する。自分は比礼をその頭上目がけて振つてやると、たちまち起きあがり「三ツ葉様」と叫んで、一同声を合して泣きたてる。一同の中には宗教家、教育家、思想家、新聞雑誌記者、薬種商、医業者も混つてゐた。一同は氷の途をとぼとぼと自分の背後からついてくる。


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