出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語77-0-11933/12天祥地瑞辰 序文王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
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場面:

あらすじ
 国民精神と日本魂について。

 77巻あらすじ。
名称


日本魂 ロボット
 
本文    文字数=6034

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序文

 近来漸く世間に日本魂の発揚と国民精神の高調を計らむとする種々の団体が発生したるを聞く。まことに慶賀すべき現象である。
 吾人は明治三十一年より今日に至る前後三十六ケ年間、日本魂の高調と皇道宣揚のために一大獅子吼を続けつつ万難を排して進んで来たが、天の時到りて現代の日本国は超非常時に直面したれば、国民の各階級を通じて日本精神の作興、国民精神の高調を云為する者の日に月に多きを加ふるに至りたるこそ皇国日本更生の先駆として結構なことであると思ふ。しかし日本には日本固有の精神があり、欧羅巴にはヨーロッパの精神があり、亜米利加にはアメリカ精神と言ふものがあつて、建国の大精神として国民の伝統性を象徴すべき事は言ふまでもないことである。
 殊に東方に国し、万世一系の国家として万邦に冠絶する日本国とすれば、われわれのみの有する国民精神、即ち日本魂でなくては、我文物制度の諸々の特異性が、世界万邦に強記され驚嘆さるる筈はないのである。
 特に日本魂の高調によつて、国民の覚醒を求めなければ、わが日本魂は光暉もなく徳沢もないと主張する人々もあるやうだが、しかもわが日本国民には牢固たる日本魂、純乎たる国民精神なるものは、決して脆く消磨しまたは喪失すべきものとは断じられない、のみならず、この精神には益々高く清くかつ明澄に常住坐臥、磨きをかけられ光暉を放ちつつあるものと観なければならない。
 日本魂なるものは忠孝、信義、友愛、大侠、義勇、正義、自由の各自純真な意識行動によつて発励さるるを本義とする。我万邦に比類なき国体を護り国家を支持する精神は、咸く皆これら国民性の固有する負誇矜持であつて、他の国民の模しかつ奪ふべからざる独占的所有権である。この占有権には絶対の保障がなくてはならない。即ち日本魂の約束する一つの手形である。この絶対不可侵的手形は既成宗教的信仰心の裏書によつて容易に手放されぬ。もし手放すものがありとするならば、茲に日本魂即ち国民精神は奪ひ去られて、国民の持つ処の精神的財産、精神的衣糧は跡形もなく消え亡せるであらう。しかり、この精神的亡者、精神的自殺者が現代日本国に生を享け生を営みつつありとせば、それは日本精神を賊しかつ冒涜するもので心外千万の沙汰である。
 顧みれば欧米の文明なるものは果して日本に何物をもたらしたか、ただその文明の心酔者が先走り上辷りたる理智本能と物質的機械的なる盛装に眩惑し、愛溺し、重宝がつただけの事象は認められようが、得るところ残さるるものは、思想の偏傾と荒頽とを挙げ得る位のもので、この間動もすれば思想の変遷を助長し促進して、あらぬ方面への脱線、奔放を体現する一部の国民なしとは断言されない。
 欧米文明の長を採り短を補ふと言ふ本来の意義は、如何に固陋な旧道学者と雖も否認すべき道理がない。けれども短を補ふの程度を踰え、余りに長所を盲信した機械と物質のロボツト化せしことによつて、脱線的思想家を生じ、自恣奔放なる似而非自由主義者の怪物がのさばり出すやうになつた。これで見ると、凡そ世に変態と称し得べき範囲において、啻に政治の上に経済組織の上にのみ時に変態の称を冠し得る事実の発生を記憶する以外において、人間の思想の上にもまた変態的事実の存在を否認されぬこととなる。洵に呪はしい世相であり人間世界である。
 何をか人間の思想に変態事象ありと言ふか。いはゆる欧米文明のあまりに広範囲に無際限にとり入れられたために、その長所の標識が狂ひ出して、終に脱線奔放のありのままのすがたをさらけ出してしまつた。即ち国民思想の一部に、左傾し赤化する事実の認定を首肯するものは、これを思想の荒頽的変態事象として指摘するに敢て憚らざるべしと思ふ。資本主義是正、統制経済確立、これらの組織的努力は、組織構成の歪曲を正す上には一の努力には相違ないが、高所大局から見て我日本魂はこれと共に発揚し豊潤味を示しつつあるであらうか。一部の左傾赤化の歪曲精神から報本反始的是正に努力せなければ、我日本国民精神の全体を滅亡せしむるに至るやも計り難いのである。
 かかる事態にある皇国日本の真精神と、天壌無窮の皇室の尊厳とを普く国民に示現し、以て非常時に直面せる同胞に対し迷夢を醒まさしめむがために、茲に『天祥地瑞』の神書を著はしたる次第である。東洋特に皇国日本の天地開闢宇宙創造説と西洋諸国の説とを比較し見るも、海外諸国の論説は根拠なき神話物語にして、非文明極まれる理由を覚り得るであらう。
 扨本巻は八柱の御樋代神の一柱なる朝香比女神の英雄的活動より、西方の国土を巡生中なる太元顕津男の神とスウヤトゴルの山に会し、大曲津見を言向け和し、美しき新しき国土を経営し、国魂神を生み出でますといふ紫微天界における大活動の序幕的物語である。
   昭和八年十二月十日 旧十月二十三日   於大阪分院 口述者識



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