出口王仁三郎 文献検索
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原著名 | 出版年月 | 表題 | 作者 | その他 |
出口王仁三郎全集 第8巻 全8巻(復刻) | 1999.03 | 寝巻 | 出口王仁三郎 | 参照文献検索 |
キーワード: 27歳 和歌実作 |
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本文 文字数=1956
寝巻 二十六七歳の頃
{1897年 明治30年 27歳 年代不詳、相手不詳}
ねぼけたる顔をかくして尻からげ一目散に牧場にかへる
牧場にかへりて見れば村上氏はや搾乳を終りてありけり
喜楽さんまた昨晩もお楽しみなどとからかふ村上老人
遅刻してすまぬといへば村上氏毎度の事よと声あげて笑ふ
村上氏曾我部へわれは稗田野へ法被装束牛乳くばりゆく
○
稗田野の歌舞の師匠の家に入り牛乳くさらして顧客におこらる
その夜は歌舞の師匠の家にとまり寝巻の袖に尿かけらる
歳はまだ十五の歌舞の師匠さんに尿かけられ憎しと思はず
火の如く顔あからめて歌舞の師匠部屋の小隅にうつむきてをり
小便にぬれし寝巻を帰り路の小川にそつと投げ捨てにけり
朝の牛乳をしぼりてまたも稗田野に配逹してゆく顔を見にゆく
吾が捨てし寝巻の袖に二十円入れたることを思ひ出したり
二十円の金思ひ出しおどろきて捨てし小川に衣さがしゆく
幾度も川の上下さまよひて探せどさがせどあとかたもなし
天川の部落の小さき家の軒にわが捨てし衣ほしてありけり
衣ほせし家をたづねて袂より色の変りし紙幣ひき出しぬ
この着物あなたのなれば返しますとその家の主おとなしく言ふ
金あれば着物なんかはいりませぬと吾おとなしくおいて帰りぬ
春の日の花にたはむる蝶のごと父なき吾はむなしく日を消す
牛乳を近き村村に配りながらうら若き日を希望にくれつつ
大なる希望はあれど貧しければ事業励みて身を固めむと思ふ
若き女に吾は心を奪はれず希望にいきて時にたはむる