出口王仁三郎 文献検索

リンク用URL http://uro.sblog.jp/kensaku/genshow.php?CD=13108&T1=&T2=&T3=&T4=&T5=&T6=&T7=&T8=

原著名出版年月表題作者その他
出口王仁三郎全集 第8巻 全8巻(復刻)1999.03合図出口王仁三郎参照文献検索
キーワード: 17歳 和歌実作
ルビ付き本文:
ダウンロード・ページ
 
本文    文字数=2126

合図 十七八歳の頃

{1887年 明治20年 1888年 明治21年 17歳、18歳}

口笛を吹いて二人の友垣は夕べの門にわれを呼び出す
無理やりに咳払ひして外の友にしばらく待てと合図なしける
垂乳根の父にさとられつぎの宵咳払ひして頭なぐらる
口笛を覚られてより吾が友は下駄の音させ合図しにける
塵払ひ障子の穴より突き出してしばらく待てと合図の返事す
父母の寝息うかがひ裏戸あけて三人は西瓜畑に馳せ行く
月の夜の露に冷えたる西瓜をば地上に打てばぽんと割れたり
真二つに割れし西瓜の赤あかと月に匂へる夜半の楽しさ
石榴のやうにはじけし西瓜の実餓鬼のごとくにつかみ食ひけり
夜食ひし西瓜に腹をいためつつ泣顔おさへて草刈りにゆく
真昼間に父は野良より帰り来て西瓜盗まれたとこはい顔せり
盗人をたづねて見れば吾が子ぞと知らぬ親父の顔のをかしさ
腹痛みやうやくなほりつぎの夜は友の畠に三人出でゆく
例のごと西瓜を割りてくらひあきその翌朝は又腹くだる
吾が父と友の父とがよりあひて迷惑相にはなし合ひをり
真夜中にお前がとつて食たのかと問はれて胸をとどろかす吾
知らないとこばみて見たれど何となく心をののき声ちぢみける
白浴衣西瓜の汁に染まりをりて言ひわけたたずあやまり泣きぬ

   ○
田に水をひかむと夜半に畦道をかよひて狸の奴につままる
遠の野に提灯見えて人のかほ声まできこゆる狸の仕業
吾が作る田の水口をふさぐ奴追はむと走りて小溝に落ちたる
漸くに溝はひ上れば月冴えて吾がそばちかく狸あゆめり
こん畜生狸の奴めと追ひかけて再びもとの小溝に落ちたり
何処までもたたる狸と怒りつつ泥まぶれにて夜半家に帰る