出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
出口王仁三郎全集 第7巻 全8巻(復刻)1999.02鎌先温泉出口王仁三郎参照文献検索
キーワード: 和歌実作
 
本文    文字数=3148

東北の旅の長きに疲れたる身をやすらふと温泉に来つ
谷川の清き流れを見つつわれおもふことなし山の湯の宿
冬菜売る里の老女のかしましさ朝の道べに客をよびつつ
自炊する客をあてどに野菜売る山の温泉の田舎めきたる
山の温泉の不便を吾はゆかしみてはるばる鎌先温泉に来つ
並山の尾上くまなく晴れにつつ北吹く風のつめたき湯の里
小夜更けて雨戸とざせば渓川の瀬鳴りの音も遠ざかりけり
湯の客の浴室に唄ふおけさ節ききつつ吾は眠りに入りけり
共同湯に若き男女の唄ふ声聞く山里の冬は長閑けし
温泉に通ふ足駄の音のしげくなりて鎌先村のあかつき近めり
温泉の里の灯冴えておけさ節声ほがらかに山にこだます
温泉にゆつたりひたり湯をいぢり幼心にしらずにかへれり
宿の女がつぎ足してゆく木炭のにほひ床しき鎌先の朝
老松の梢は風を孕みつつ鎌先山の冬を叫ベり
静かなる暁の空やほのぼのと薄紫に雲はそまれり
吾が顔を珍らしさうに湯の客の障子細目に開けて見て居り
共同湯に男をみなの唄ふ声せせらぎに和して賑はしきあさ
白銀の光放ちて鎌先の夕ベの空に月はかかれり
天なるや佐佐良桂男昼もなほ澄みきらひつつ風の寒きも
にぶき陽のさせる鎌先温泉の村に日はたけにつつ風あるるなり
不忘山尾上の雪をけぶらせて青空ながら風すさぶなり
溌剌たる英気に充てる昭青の査閲たのしも雪の大野に
雪降らむ気配は見えて夕空のほの明りつつ陽は沈みたり
夕べ吹く風に翼をあふられて烏のむれは飛びなやみつつ
たたなはる山はことごと冬樹して雪にかがよふ夜半の月かげ
散り果てし紅葉林にさらさらと音のさびしく霰ふるなり
千引岩立ち並びたる庭山にところせきまで茂るつつじ木
湯の村は雨にけぶれど風寒み山の尾上は雪ふるらしも
吾がタオルうすら黄色く染りたり温泉の効験ほの見えにつつ
年の瀬を前にひかへて東北の冬の温泉の旅はせはしき
大空に静かにひろごる雲見つつ温泉の宿の冬日暮れたり
朝雨のふりあがりたる湯の村に豆腐屋の鈴の音さえ渡る
草枕旅路のうさを払はむとじやれ言をいふ吾を許せよ
白魚の柔き少女と指角力取りつつ勝たむ心起らず
仰臥して敷島煙草吸ひながら宿の夕べのラヂオききをり
雀子のこゑも聞えず湯の里の今日の真昼の静かなるかも
薙刀にくせのつきたる藁箒持ちて客間を掃ける宿の女
昭青の会歌の声におくられて夕日かがよふ白石を立つ
   〇
広重の絵を見るやうな並木松、白石川が冬をながれてゐる
盛岡から仙台へ急ぐ田圃道、風致のよい松林が点綴する冬