出口王仁三郎 文献検索

リンク用URL http://uro.sblog.jp/kensaku/genshow.php?CD=12905&T1=&T2=&T3=&T4=&T5=&T6=&T7=&T8=

原著名出版年月表題作者その他
出口王仁三郎全集 第7巻 全8巻(復刻)1999.02湯ケ島遊記(1)出口王仁三郎参照文献検索
キーワード: 和歌実作
 
本文    文字数=3829

目さむればわが急行車駿河野の焼津広原をただはしるなり
山高み今宵の三日のつきよみはかげさへ見えず湯ケ島の宿
つまらなきことはおもはず世を忘れ温泉に入り暮らす湯ケ島に来て
常磐木の松を流るる風の音いやさやさやに春さらむとす
天城嶺の渓渓つつむしらくもは雨をはらみて春さむきなり
天わたる月のましたにわれ立ちてしみじみたのし春の夕べは
湯の宿の玻璃戸すかして照る月を見つつし春の夜をひとり寝む
春あさき狩野の清瀬をすいすいと小鮎むらがり上りゆく見ゆ
温泉の湯気ほのぼのと立昇る朝の狩野川にうらら陽の映ゆ
狩野川の上を飛びゆくむら鴉わが目さそひて山を越えたり
狩野川のむかつ岸辺の杉ばやし朝晴れて啼くひばり幼し
川中の天然岩の湯のふねにひたれば射し来真昼陽のかげ
うばたまの小夜のくだちにただひとり温泉にひたりて心しづけし
狩野川の湯津石むらのしろじと陽に乾きゐて水あさき春
月明き狩野の川辺をわれ一人行く淋しみて友を誘ひぬ
狩野川のたぎつ瀬おとも聞きなれて友とひそかに春の夜を語る
日ならべてぬくき雨降り春庭の千引のいはね苔青みたり
春浅き杉生の森のしたかげにかぞふるほどの山蕗の薹
夕つ日は湯殿の山にかくろひてわが湯の窓にさむ風立ちぬ
すみきれるみ空の下に澄みきれる温泉をあびて思ふことなし
湯に入りて心のびのびくつろげば知らず知らずも口誦むうた
朝雨の降りしく庭のくれなゐのつばきの花は目にしみらなる
雨やまば西平橋のさくら見むとひたに思ひぬ湯のつれづれを
天城嶺は雲にかすみて湯ク島の温泉のさとに春日かがよふ
ひとり寝の癖のつきたる吾ながら春の夕べは友ほしと思ふ
岩ケ根にからす羽ばたきなしてをり濡れし翼の水はらひつつ
たかぎしの田の畔ゆけばあをあをと野蒜の若草萌え出でて居り
西平の高原に立ちてしみじみと萌ゆる麦生の春を親しむ
水車小屋軒をならぶるにしびらのこの高原に水ひかる見ゆ
(以上四首狩野川)
ほのぼのと春日かがよふ湯ケ島の湯にわれありて君おもふかな
天城颪うすらさむけき湯ケ島の春をちらほらさくら匂へる
庭すみにただひとところしろじろと小米桜の月に映えたる
大空はうすら曇れど庭の面は桜あかるし湯ケ島ここは
オーと呼べばオーと応ふる山彦の谷吹く風にさくら花散る
春雨に風をまじへし高岸の小米ざくらの花いたましも
大方の春を桜に明け暮れて思ふことなしうつつごころに
高らかに温泉の街のゆふぐれを唄ひゆく人の声の冴えたる
湯殿山あなたこなたのはだか木は目に立つほどに若芽ふきをり
湯ケ島の湯にひたりつつまださむき川の流れを見守りてゐる
山笑ふ春とはなりてをちこちの谿間あかるき山ざくら花
真夜中の温泉に浸りここちよさにひとりごといふ吾を笑ひぬ
湯のやどにしのびて病養へるわがありか知りて友の文来る
朝庭の露を跣足に踏みながら心すがしも蒲公英のはな
雨けぶる湯殿の山の尾根ちかくつばさたわわに飛ぶ鳥のかげ
隣室におそはれなやむ人のこゑよびさまさむと咳一つしぬ
湯に入りて心やすけきこの夕べわがふるさとのよき便りきく