出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
大本史料集成 全3巻1982.06(第1巻)、1982.09(第2巻)、1985.08(第3巻争点 十二段返しの歌池田昭・編参照文献検索
キーワード: 二次事件裁判 不敬罪 天理教
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問 中野与之助に対する治安維持法違反、並に不敬事実の証拠品の一号証ですが、此処に十二段返しの歌がありますが……。
答 見せて貰ひました。
問 王仁三郎が作つたのですか。
答 私は知らぬです、初めて見たのですもの、大本に時々色々のものが出て来て拵へる者があるのです。
 それで、「大本には秘密があるやろ」とか何とか言うて、それに書く者がある……初めてそれは見たのです。
問 十回の一問答に於て、「私は、大正六年十二月頃に、綾部の西町の大槻鹿造方に行つた時に、近所に四十歳位の女の人が居りまして、其の人が天理教の筆先を持つて居て、『今の天子様は外国から来られたのである』と云ふ趣旨のことが書いてありました。又、其の時、其の女が、『天理教の管長様の中山新次郎さんが日本の心、即ち中心になるのである』と言つて居つた。其の天理教の筆先及女の話からヒントを得て、大本に帰つて、私が別荘と言つて居つた六畳敷の部屋で、白紙に縦横に線を引いて、二十二字宛字が書けるやうに……四段目に」
答 それは大分違ひます。
 それは私の意思ぢやありませぬ。実は斯うです。私は引つ掛つたのです、「天理教は怪しからぬものだ」と言やはられたのです。
 「『日の本の真の柱は唐人や』と云ふことを天理教は言うて居る。斯う云ふ怪しからぬことを言うて居る」と言はれたので、「それは怪しからぬ。私もさう云ふことならば聞いたと思ひます──大槻鹿造の隣に宿があつて、其処に四十歳位の人が飴売りに来て居つた。さうして、『新次郎と言つて天理教の管長さんが、心になる人だから』と言つて居りましたから、怪しからぬ」と云ふことを認めて居りました。
 さうしたら……其の時はそれで済んで居つたが、十日程してからそれをお書きになつて、「お前は加藤にそれを書かしたのやろ」と言やはりましたけれども、私は七年頃にはそれに会ひましたけれども、加藤には十年初めて会うたのです。
 仕方がないから、「へえ」と言うて居りました。
 どんなことがあつても聴かはりまへぬもの。
 証拠も無し、神様が知つて居らはるのだから、と云ふので向ふの仰しやる通り認めて置いたのです。
 併しながら、そこに妙なことには、
  いつの日か如何なる人の解くやらむ
     此の天地の大いなる謎
と云ふのがある、是はあさのが十一年に作つた歌です。
 それが七年にそんな歌がありさうなことがありまへぬ。
 十二年頃に作つた歌が「神の国」の十二年発行の五月号の十五頁に、確かにあさのが其の歌を書きまして、色紙に書いてちやんと出して居ります。
 七年頃に書いたと云ふことも嘘ですし、「七年頃に其の者が居つた」と云ふ話はしましたけれども、私はそんなことは書いて居りまへぬ。
 或は、今考へて見るのに、ひよつとしたら、静岡県に妙な奴が居つて、其の連中が私の蒙古へ行つた留守の間に其の神霊界を見居つて、其の歌を書いて居つてそんなものを作つたのぢやないかと云ふやうに思ふのです。
問 静岡……。
答 神霊界ぢやない、神の国に出て居つた、十二年の五月号に……
問 其の歌が。
答 「大いなる謎」と云ふあさのの歌が。
問 此の歌の読み方は──。
答 歌は別です。
問 あさのが……。
答 歌つて居るのは別です。そんなのとは違ふ。
 此の意味は、私がああ云ふことになつたりして、自分がもう是程神さんを信仰して居るのに、斯んな目に遭ふのは何故か判らぬ、と言つて悔んで居つて作つたのだから──何とか云ふ男が……
 是は知らぬ人でございますけれども、与野何とか云ふ男が、誰に貰うたか知りまへぬが、其の貰うた人を調べて貰うたら判るのです。
 私は書いた覚えはないのです。見た覚えもありませぬ。
問 それでは、予審で言うて、作つた時の顛末を書いたのは嘘だと云ふのだな。
 斯んな歌を作つたのは誰か判らぬと言ふのだね。
答 さうです。或は、湯ケ島の者が作つたのやないか、と云ふことを思ふのでありまして、それは何故かと云ふと、筆先を──偽の筆先を書く人がありまして、色々のことを書いて居りまして、私はそれを見付けたから、破らして燃やさしてしまつたのであります。
 後から書いて居つたかも知れないが……私は誠の為に「偽の筆先」と書いてどつかに書いて置いたことがあります。
問 此の意味合のことに付ては、第十回の一問答に於て詳しく説明して居るが、此の歌を見たことがあるか。
答 初めて見たのです。
 今迄見たことがありまへぬ。
問 それにしては能く説明して居るのぢやないか。
答 「斯うやろ/\」と言つて字を書いて……皆是は向ふから書かれたので、私は説明してやしまへぬ。
問 ぢや訊ねるが、四段目の右から左に読むと「綾部に天子を隠せり」、又、八段目を左から右に読むと、「畏多くも、今の天子偽者なり」と書いて居る。
答 さうです。初めてそれを見た。
 今迄そんなことを書いた覚へもありまへぬ。やつた覚えもありまへぬ。若しもなそやつたら、綾部の者が持つて居つたならば綾部の者が書いたに違ひないが、私は初めて見たのであります。
 最前の長いものと是は大変やと思つて迷惑して居るものです。