出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
大本史料集成 全3巻1982.06(第1巻)、1982.09(第2巻)、1985.08(第3巻進行 弁護士の確認池田昭・編参照文献検索
キーワード: 二次事件裁判
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本文    文字数=5882

午前十一時開廷
小山(昇)弁護人 裁判長、ちよつと希望を申上げたいのですが。
裁判長 進行上ですか。
小山(昇)弁護人 被告人の方で答弁致しますことが、裁判所の御問に対しまして、途中で何かと見当違ひのやうな感じを致しますことがありまして、さう云ふ際には裁判所の方で、其所は見当が違ふからと言はれて、また御問ひになることがあるのですが、兎に角一応の答弁を……出来ますことなれば、大凡言はむとする趣旨を、其の際一つ明かにして、さうして御進行を願ひたいと思ひますのです。
 此の前も丁度、神政成就と云ふことが、所謂公認教になると云ふ意味が、一つ含まれて居るのぢやと云ふが如くに準備の時に思ひましたことは、後に至りまして、それも一つの神政成就だと云ふことが、非常にはつきりしたやうなこともありますので、其の点を一つ、出来ますことならば──非常に慎重に御審議を戴きますので喜んで居りますが、もう一つ御願ひしたいと思ひます。
 それから、只今の御問に対しまして、今日迄一寸私として御問と答とが、全然なんかちぐはぐになつたやうに思ひましたので、もう一度──一番後の所の「国常立尊の再現の理論は何に基いて出来たのか」と云ふ御問であつたのか、「どう云ふ根拠から出たのか」と云ふ御問だつたのか、能く私もはつきり致しませぬのですが、被告人の方の答弁と致しましては、兎に角宗教としてはミロクの菩薩の下生とかキリストの再現とか云ふことが生命だ、と斯う云ふやうな答だつたと思ひます。
 御問と其の答とがなんだかちぐはぐのやうに思ひますので、もう一つ最後の所を御確めを願ひたいと思ひます、それだけ希望を申上げて置きます。
裁判長 第一番目の点は御尤もです、後からの問題は、ちぐはぐになつたから具体的に、……だから古事記とか日本書紀の国常立尊の点、弥勒上生経、聖書の点などを加減して、国常立尊の隠退再現の教義と云ふものが、出て来たのかと云ふことを聞いたのです。
小山(昇)弁護人 裁判所の御問は、私の方で感じましたことは、是はどう云ふ資料に基いて作製したのかと云ふ、御問だつたと思ひます。
裁判長 根拠です。教義の出来た根拠l。
小山(昇)弁護人 教義の出来た根拠が、今迄色々聞いて居ります処に依ると、「神様が言はれて出来たのだ」と云ふやうに思へますし、今のでは、宗教の生命だから入つて居るのだと云ふやうな答にも思はれるし、そこの所がはつきりしませぬが──。
裁判長 はつきりせぬ点もあるかも知れませぬが、それは此方の決定に書いて居るので、是れだけは訊かねばなりませぬから訊いたのです。
小山(昇)弁護人 どう云ふやうに御訊き下さいましたか、私の方にはつきりしませぬから……。
裁判長 問に対して答がなつて居りませぬから、具体的に決定のことを訊いたのです、第一の国常立尊の出来た根拠は、さうぢやないかと訊いた訳です、しつかり聴いて貰はぬと困りますね。
小山(昇)弁護人 しつかり聴いて居りますが、はつきりしませぬのです、御訊の趣旨はどう云ふ趣旨でございましたのでせうか。
裁判長 国常立尊の退隠再現の根拠は如何、と云ふ問です。
小山(昇)弁護人 大本教義の……。
裁判長 国常立尊の退隠再現の根拠は如何と云ふ問は、変な問をして居りましたから、それで具体的に決定に書いてあることを訊いたのであります。
小山(昇)弁護人 根拠如何と云ふ趣旨は、どう云ふ所から、どう云ふ所から出て来たのだと云ふことですか。
裁判長 初の方は抽象的に訊いたので判らなかつたから、又、具体的に訊いたのです。
竹川弁護人 それは私も同じやうに感ずる。
 根拠如何と云ふことを言はれると、どう云ふ文献の根拠があるのか。
 神憑の根拠であるのか、或はそれを政略に使つた、手段に使つてやつたのであるかと云ふやうな説のやうに、思はれるが、どれか一つになりさうである。
 そこで、再現とか云ふことはどこの宗教でもある。処が、さう云ふと、何だか一つの手段に見える。
 其の答弁がちよつと裁判所のお問ひになつたのと、我々の期待して居ることと、少し違うやうに思ひますから、もう一遍お確かめ願ひたい。
小山(昇)弁護人 其処まで言ふと、誘導するやうに聞えますが、要点は其処なんです。
出口 もう一遍言はして貰ひたい。
裁判長 決定の所には、「古事記、日本書紀のことが色々書いてあり、国常立尊の退隠再現のことを出したのだ」と書いてありますね。
 之を実は訊かなければなりませぬ。
 裁判所は、それを、私の方ぢや先つ先に訊きまして、根拠如何と訊いたこともです。
 判らなかつたから之を訊いたのです。
小山(昇)弁護人 恐れ入りますが、答弁をもう一度聞かして戴きたいのでございます。