出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
大本史料集成 全3巻1982.06(第1巻)、1982.09(第2巻)、1985.08(第3巻思想 ミロク神政の成就池田昭・編参照文献検索
キーワード: 二次事件裁判 ミロクの神 大本皇大神 皇道維新 大正維新
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 午後二時三十分開廷
裁判長 それぢや王仁三郎、引続いて訊ねるが、腰を掛けて聴いて居つて宜しい。
 大本の所謂ミロク神政の成就と云ふことは如何なることを──言ふのですか。
答 それは、神様の教が愈々公然と天下に布教出来るやうになることをミロク神政成就と言ふたのです。
 さうして又一方には……。
問 ちよつと……神様の教が何だ。
答 神様の教が公然と許されるやうになつた暁がミロク神政が成就したことになる。
 それで私の詰り……。
問 もう少し敷衍して──ちよつとまだ解り難い。神様の教が──。
答 詰り是は神と云ふものは愛の神様です。
 ミロクと云ふことは浅野正恭なんかは、六、六、六を三つ合せてミロクと言つて居りますけれども、ミロクと云ふことは、印度ではマイトレーヤと云ひ、蒙古ではアイダリプロハラ、支那では弥勒と云ひ、詰りミロクと云ふことは愛、神は愛なり、仁愛と云ふことをミロクと訳した。
 此の神様の教が天下に拡まつて来たら、所謂日本の神様の教が拡まつて来たら、私は日本の神様の教を俟つて、総て宗教界も云々と云ふやうに言つて居りますけれども、本当は日本の総ての天津神、八百万の神様は皆愛の神様です。
 仏法で言ふと、皆総ての神様は観音様と言つて居る所もありますし、弥勒さんと言うて居る如くに、こちらではミロクの神と云ふことを一方では八百万の神を一緒にして大本皇大神と称して居る。それでそれがミロクさんです。
 ミロクさんと云ふのは愛の神さん、特定の神ぢやありませぬ。
 ミロクの世となると人も全部がミロクになると云ふのが、是が愛の世の中です。愛の教が立つて行くのがミロク神政成就で、それで是が公然と……。
問 愛の神様の教が立つて行くことを言ふのか。
答 皆がそれを信ずるやうになつて、始めてミロクの世が完成したのだ。
 世界一般の人が教を信ずるやうになつて来てミロクの世が樹立したことになるのです。
問 現界のことか、霊界のことか。
答 それは精神界のことですとも、教の方ですから──。
問 みろく神政成就と云ふことは精神界のことを言ふのですか。
答 宗教界のことを……。
問 現界のことは関係せずにか。
答 現界のことは何も関係がありませぬ。
 固より、弥勒と云ふ名がある程だから、現界の人ぢやありませぬ。
問 そこで、ちよつと矛盾を来すのだが、準備手続に於ける被告人の答へた時は、斯う云ふことになつて居つたがねー。
 「みろく神政成就と云ふのは、天界に於ては日本の神が世界を統一すること。現界に於ては日本の天皇陛下が世界を統一し給ふことを言ふのだ」と言ふて居るが……。
答 それもさうです。総てのことにミロクが掛かつて居るのだから──。
問 現界のことを言ふのか。
答 現界のことやなしに、総て精神的のことが本です。
問 さうぼかしては困る。
答 日本の天皇陛下の御稜威が各国の人に行亘り、精神的に行亘つたのがミロクの世であり、天の神様が総てを統一されたのがミロク神政成就です──斯う云ふ意味です。
問 現界のことを言ふのか、先づ第一にそれを訊ねます。
答 現界のことは言はない。
問 此の前の準備手続に言うて居るぢやないか。
答 現界で言へば、天皇陛下が統一されることであり、霊界で言へば霊界の神様が──日本の神様が統一されることである。
 それで今支那の戦争でもロシアとやりかけて居ることでも、是は皆世界統一のミロク神政成就の橋掛けなんです。初まりなんです。
 私はさう信じて居る。
問 一番……それぢや、一番初めの答は霊界のことを言うのだね。現界で言へば、日本の天皇陛下が世界を統一し給ふことを言ふのだと云ふことは、例だな。
 併し、惟ふに、中心点は仁愛の神──霊界の神の教が行はれることになるのがミロク神政成就と言ふのだな。
 是は言葉を換へて言へば、斯うなると言ふのだね。
答 日本の天皇陛下は仁愛の方です。
 総て今度の戦争も仁愛から起つて居る。
 疲れて頭がごてくしてしまつて、頭が判らなくなつちやつた。腹下りをして居るものですから、さつぱり頭がわやになつてしまうて(と水を飲む)……あのね、矢張り公認教になることもミロク神政成就なんです。
問 一つの階段だね。
答 はい、大きくあつても小さくあつても皆ミロク神政です。
 五十六億七千万年後でなければミロク様は出ないのだ。
 それを待望して居るのですから。
問 実際問題として、公認教となることも矢張りミロク神政成就……。
答 ミロクの教をするのですから、ミロクの神政をなさるのですから、国土成就と云ふやうなちよつとしたことでも成就で、大きなことでも成就。大本が公認教になるのもミロク神政成就。愛の神様の教が成就した……是は唯大本だけの成就ですけれども。
問 大本だけのミロク神政成就だね。
答 世界が成就になるのはまだ/\です。
問 もつと大きな所に眼を着けて居るのだらう。
答 小さく大本だけに付て言へば……。
問 所が此の決定の──予審終結決定の趣旨に依りますと、「ミロク神政成就と云ふのは、我が日本に関する限りに於て、王仁三郎が畏多くも日本の現御皇統を廃し奉り、日本の独裁君主になると云ふことを言うて居る」やうに書いて居るね。
答 そんな畏多いことは申しませぬ。御書きになつたのです。御書きになつて判を捺させられたのです。
問 併しさう云ふ趣旨になつて居るのだがね。
答 それでも、私は申しませぬ、首が千切れても、そんなことは申しませぬ。
問 違ふのだね。
答 はい。
問 それから、さうすると……
答 誰々が斯う言うて居るから、斯うぢやろと言つて御書きになつたのですわ。
問 茲に王仁三郎全集の第一巻の三百四十九頁に「皇道維新に就て」と云ふことを書いたのがあるね。
 それから、証拠品第五百七十九号、大正六年三月発行の神霊界に「大正維新に就て」と云ふことを書いた所があるね。
 それから、証拠品の千九百七十二号に「皇道維新と経綸」と書いたものがある。
 それから、証第四千二百二十七号、瑞祥新聞の昭和八年の皇道大本の目的を説いた本がありますね。
 是は何れも、「皇道大本の内容は良いものだ」、全部大体同じやうなことが書いてある。
 何れも之を読んで見ると趣旨は変つて居らぬやうに思ふが、特に一番新しい部分には皇道大本の目的をはつきり書いて居るから、之を一遍訊いて見たい。
 皇道大本の目的は……。
答 私が書いて居りますか。
(此の時記録を示す)
問 大部書いて居るね。
 ミロク神政成就のことに付て。
答 是は此の通りに決つて居ります。
 是は、「天皇陛下が斯うなさると云ふことが皇道大本の目的である」と云ふことが書いてある。
 是は私はちよつとも悪いことぢやないと思ひます。
 後に書いてあるのは同じ内容を……。