出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
大本史料集成 全3巻1982.06(第1巻)、1982.09(第2巻)、1985.08(第3巻出口遙、梅田信之、中野岩太について池田昭・編参照文献検索
キーワード: 二次事件裁判 浅野正恭
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本文    文字数=4928

林弁護人 御審理に入りまするに先立ちまして、只今御陳述になりました検察官の公訴事実に付て一点御釈明を得たいのであります。
 予審終結決定書に依りますれば、検察官が審判を請求されました事件中に、昭和三年三月二日に於ける出口王仁三郎等十八名の行為、及同年同月三日に於ける出口王仁三郎等十九名の行為があるのであります。
 そして其の際挙げられました人名の中、出口遙、梅田信之、中野岩太の三名は御起訴に相成つて居ないのであります。
 茲に伺ひたいと存じますることは、右日時に於ける右三名の行為は、起訴されて居ります他の者等の行為と全然相異なるとの御主張でありませうか。或は又、右三名に付きましては、法律上之を他の者等と相異る御取扱をなさるべき特殊の理由、事情が存在致すのでありませうか。
 私共は弁護の方針を立てまするに当りまして、此の点に付き非常に困惑致すのであります。
 何卒検察官に於かれましては、率直、無色、虚心坦懐に此の点に関しまする御釈明を下さいまして、以て我々と共に真実発見の為に一層の御協力を希ひたいのであります。
裁判長 本件の此の度の内容に付ては、検事の御論の如く安寧秩序を害する事実のあるものと認めまして公開を禁止する事に致します。
 特別の許可のない一般の傍聴人の退廷を命じます。
(午前十時一分傍聴人退廷)
 審理に入る前に、林弁護人から検事に対する釈明を求められました、其の要旨は結社を組織した同志の中で、二三名の者が出て居らぬがと云ふ御訊ねですね。
林弁護人(黙礼)……もう一遍申上げますれば、右三月二日及三日に、起訴に相成つて居りませぬ三名が致しました行為と、起訴に相成つて居りまする他の者等の致しました其の行為と全然相異ると云ふ御主張でありませうか。或は又、右三名に付ては、法律上之を他の者等と相異なる御取扱をなさるべき特殊の理由、事情が存在するかと云ふ御訊ねであります。
裁判長 左様な点に付ては、審理の進行上判明することと思ひまするが、弁護人各位の御希望もありまするから、差支へない範囲内に於て検事の御意見を発表して戴きたいと思ひます。
検事 御答へ致します。
 御訊ねの三名に付きましては、検事局で不起訴になつて居りますが、其の不起訴に致しました内容をちよつと此処で申上げることを差控へたいと思ひます。
 如何なる事件と雖も、不起訴理由、其の他のことに対して発表しないことになつて居りますから、其の点御含み置きを願つて置きます。
林弁護人 検察官の只今の御釈明は頗る遺憾とするのでありまするが、近き将来に於て必ず真実発見の為に、更に格段の御協力を発表……と申しますか、さう云うことを確信致しまして御審理の御進行を願ひたいのであります。
清瀬弁護人 今のことで初めて判りましたが、今の三名の中には、浅野遙と云ふ人が居るのですね、先刻申しました浅野正恭の子供ですね、御着眼を願ひたい。
裁判長 此の問題は是で、又改めて別の機会に於て──。
 それから各被各被告人にちよつと申上げて置くが、順序として冒頭に於て王仁三郎の審理をしようと思ふが、各被告人の審理の進行上、「王仁三郎の通りかどうか」と云ふやうな形式に於て審理を略するやうなことがあるかも知れませぬから王仁三郎の答に付ては、判らぬと云ふやうなことのないやうに、能く聴いて居て貰ひたい。
 重要事項に付ては、勿論確実に十分弁解を訊かうと思ふが、まあ余り重要でないことに付ては、王仁三郎の答を引用して、進行を図りたいと思ひます、其の積りて聴いて──
 それぢや王仁三郎から取調べます。
 其の外の各被告は腰を掛けて居つて宜しい
(出口王仁三郎外の各被告着席)
井上留五郎 一口……。
裁判長 何を言ふのですか、弁明などは、各被告の審理の際に十分訊かねばならぬことになつて居るが、何かね。
井上留五郎 あ、さうですか、ぢや……。
高木鉄男 私の名は、高木鉄男でありませぬ、鉄男、であります。