出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
大本史料集成 全3巻1982.06(第1巻)、1982.09(第2巻)、1985.08(第3巻予審終結決定(2)池田昭・編参照文献検索
キーワード: 二次事件裁判
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本文    文字数=8631

而して被告人王仁三郎は、
第一 自己の五十六歳七カ月にはみろく菩薩として出現し、みろく神政を成就せしむべき旨予言し居りたるを以て、昭和三年三月三日は恰も之に相当する日なりとしみろく大祭を執行し、被告人かみろく菩薩として諸面諸菩薩を率いみろく神政成就の為出現したるものとし其の儀式を行ひ、被告人及大本教義の真相を了知せる出口すみ並左記十数名の大本の幹部を基礎中心として我国体の変革を目的とする結社を組織して該目的達成の為本格的活動を開始せむことを決意し、
同年二月上旬より其の準備を為し同年三月二日夜右綾部町本宮の教主殿に出口元男、出口遙、出口伊佐男、井上留五郎、高木鉄男、岩田久太郎、御田村竜吉、東尾吉三郎、湯川貫一、四方平蔵、梅田信之、中野岩太、湯浅斎治郎、出口慶太郎、桜井同吉、栗原七蔵、西村昂三の十七名を招致し同人等に対し、
一、同月三日愈みろく菩薩として諸面諸菩薩を率ゐ此の世に下生しみろく神政成就の為現界的活動を為すこととなりたる旨、
一、諸面諸菩薩は参集者十七名なるを以て明日至誠殿に昇殿すべき旨、
一、明日以後の大本は立替立直したる大本なるに付自分及参集者十七名は従来の役職を返上し同月三日一日間無役となるべき旨、
等を告け暗に同結社を組織せむことを慫慂し同人等に於て之を承諾したるを以て同年三月三日右綾部町本宮の至聖殿及みろく殿に於てみろく大祭を執行し、すみ、元男、遙、伊佐男、留五郎、鉄男、久太郎、竜吉、吉三郎、貫一、平蔵、信之、岩太、斎治郎、慶太郎、同吉、七蔵及昂三の十八名を随へ右至誠殿に昇殿し、被告人がみろく菩薩として諸面諸菩薩を率ゐて出現したるものとなし、昇殿者一同神前に於てみろく神政成就の為一致団結して捨身活動せむことを誓ひ茲に被告人は右昇殿者十八名と共謀の上万世一系の天皇を奉戴する大日本帝国の立憲君主制を廃止して、日本に出口王仁三郎を独裁君主とする至仁至愛の国家を建設することを目的とする、大本と称する結社を組織し、
 爾来被告人は大本総裁、大本教主補佐及大本総統等として同結社を統轄主宰し、昭和十年十二月上旬迄の間に各地の分所、支部を巡廻して役員、信者等に対し同結社の目的達成の為捨身活動すべく激励し、随行の役員をして前記大本教義の宣伝を為さしめたる外、同期間内に右綾部町本宮及亀岡町天恩郷等に於て前記目的達成の為、
一、同結社の重要なる組織方針及活動方針を樹立して幹部役員をして実行せしめ、
一、各種建造物を増築して同結社の設備を充実し、
一、同結社の最高幹部、総務及大宣伝使等を任命し、
一、駐在宣伝使及特派宣伝使を選任して各地に派遣し分所、支部等の宣伝活動を指揮監督せしめ、
一、幹部役員をして天恩郷大祥殿に於て大本教義の講義、講演を為さしめ、
一、信者より同結社の活動資金及建築資金を徴収し、
一、機関紙神の国、真如の光、瑞祥新聞、明光及人類愛善新聞其の他大本教義を掲載したる霊界物語、出口王仁三郎全集等を発行し、
一、昭和八年一月大本瑞祥会を廃し同時に大本を皇道大本と改称し、
一、同結社の活動機関として昭和青年会、昭和坤生会を同結社の補助機関、外廓団体として昭和神聖会を各創立する等、
 同結社の拡大強化に努め別院二十七個所、分院三十九個所、主会約三十四会、聯合会約百四十数会、分所支部約千九百数十個所、信者約十万人を数ふるに至らしめ、
第二 前記大本教義を宣伝して同結社の拡大強化を図る目的を以て同府南桑田郡亀岡町天恩郷に於て北村隆三外数名をして
一、昭和七年六月三十日霊界物語、第六十巻の再版を発行するに当り其の第四百二十七頁以下に、
「天の岩戸開が段々と近寄りたから是までの如うな事には行かんから、一か八かと云う事を悪の頭に書いて見せて置くが良いぞよ。今の番頭のフナフナ腰では兎ても恐がりてコンナ事を書いて見せて遣るだけの度胸はありは致すまいなれど、神の申すやうに致したら間違は無いぞよ、一の番頭の守護神が改信が出来たら肉体に胴が据わるなれど到底六ケ敷いから今に番頭が取替へられるぞよ。モウ悪の頭の年の明きであるから、悪い頭から取払ひに致すぞよ」
なる畏くも天皇陛下を称し奉るに「悪の頭」なる語を用ひて現御皇位の断絶を暗示したる記事を、
二、昭和七年十月三十日同物語第七巻の第三版を発行するに当り其の第六十一頁に、
「月の光り昔も今も変らねど大内山にかかる黒雲」
なる畏くも現御皇室を呪咀して詠したる短歌を、
三、昭和八年四月十日同物語第三十八巻の第四版を発行するに当り其の第九十四頁に、
「千歳経し聖の壷も地震の荒ひに逢はばもろく破れむ」
「つかの木の弥つぎつぎに伝はりて宝の壷もひびぞ入りぬる」
なる畏くも御皇統の断絶を暗示したる短歌を、
四、同年六月十日同物語第六十一巻の第四版を発行するに当り其の第百九十七頁に、
「現世の君より外にきみなしとおもふ人こそ愚かなりけり」
なる畏くも天皇陛下の外に猶天皇あるか如きこと暗示したる短歌を、
五、昭和九年十二月二十五日同物語第十五巻の第三版を発行するに当り其の第二百八十五頁に、
「日の光り昔も今も変らねど東の空にかかる黒雲」
なる畏くも現御皇室を呪咀して詠したる短歌を
六、昭和八年七月一日皇道大本機関紙瑞祥新聞を発行するに当り其の第七頁及第八頁に畏くも天皇陛下を称し奉るに「日本の上の守護神」又は「日本の上に立ちてをる守護神」なる語を用ひて現御皇室の御施政を誹謗せる記事を、
七、同年十月一日同新聞を発行するに当り其の第五頁に畏くも天皇陛下を称し奉るに、「上」なる語を用ひて現御皇室の御施政を誹謗せる記事を、
八、昭和九年九月一日同新聞を発行するに当り其の第七頁以下に畏くも天皇陛下を称し奉るに、「上の守護神」なる語を用ひて現御皇室を誹謗せる記事を、
九、昭和十年三月一日同新聞を発行するに当り其の第七頁に畏くも御皇統を称し奉るに、「いやな方の血統」なる語を用ひて歴代天皇の御施政を誹謗せる記事を、
十、同年四月一日同新聞を発行するに当り其の第六頁及第八頁に畏くも天皇を称し奉るに、「上の守護神」又は「道具に使はれる肉体」
なる語を用ひて現御皇室の御施政を誹謗し、天皇陛下の御退位を暗示せる記事を、
十一、昭和九年十一月九日昭和十年日記を発行するに当り其の第三百四十七頁の欄外に、「言さやぐ君が御代こそ忌々しけれ山河海の神もなげきて」
なる畏くも現御皇室を呪咀して詠したる短歌を、
 各掲載せしめて之を信者等に配布せしめ、以て該結社を組織し其の役員たる任務に従事すると共に、天皇陛下に対し奉り不敬の行為を為したるものにして、右不敬の行為は犯意継続に係るものとす。
 上掲被告人の所為に付ては治安維持法第一条、第一項前段刑法第七十四条、第一項前段第十条、第五十五条を適用すヘきものと思料するを以て刑事訴訟法第三百十二条に依り主文の如く決定す。
昭和十三年四月三十日
京都府地方裁判所
予審判事西川武
(大本教団所蔵)