出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
神の国 日本の危機と皇道経済 参照文献検索
キーワード: 経済思想
備考: 全集(5) P.494 日本の危機と皇道経済 「此頃になりまして非常に皇道皇道といふ説が
 
本文    文字数=7751

日本の危機と皇道経済
 此頃になりまして非常に皇道々々といふ説が、到る処に起つて来ましたが、私がこの綾部に来まして三+七年、その時から皇道を唱へましたが、非常に内外から反対を受けて、異端邪説を唱道する様に云はれたものであります。それから引続き皇道大本は今日まで、一生懸命に君国の為に唱へて参りました。世間では漸くにして二三年前から、皇道を認める事が出来かけて来たやうで、この大本の存在及び活動が非常に世間から認められる事になつた次第であります。
 抑日本の国は、天照大神がお肇《た》てになつたのであります。所謂君は神であり、神は神国である。旧東天子国であり、天立君主立憲国、天立君主であります。天から立てられた君主であります。君主が憲法を御制定になつて、そして吾々萬民をお守のになられる国であります。こんな結構な国はないのであります。
 他にも亦立憲君主国といふのがありまして憲法によつて居ります。英国だとか、伊太利だとか、独逸だとかはさうでありまして、それらの君主は所謂皇帝でありますが、日本の大君は天皇と申上げて世界に類例のない天皇である。所謂皇帝ではない、皇帝よりはもう一つ上である。憲法にある通り『天皇は神聖にして犯すべからず』で、規則や民意によつてどうする事も出来ない、儼として動かぬところの、天から定められた有難い大君であります。
 天皇には絶対に対立すべきものはない。本当に至尊至貴にわたらせられる神聖不可犯の大君であります。その大君を戴いて居る吾々国民はこれ程幸福な有難い事はない。海外諸国の状況を調べましても到底日本位有難い国はないのであります。然るに、今日の日本国民は浅薄な外来思想の浸潤と共に上下を挙げてこれにかぶれて、今迄皇道を唱へても馬鹿にして耳を傾ける者がなかつた。経済学と云ひ、法律と云ひ、その他一切の範を海外からとつて今日の日本を形造つて来たのでありますが、それは帝国憲法の精神から見ても、日本国体から見ても、全然違反してゐるのであります。我国は、天皇陛下の国土であり、天皇陛下の民であり、天皇陸下の家族であります。所謂大家族制度を神代の昔からさせられてあるのであります。
 それでありますから、外来思想が浸潤しても人情は──忠孝の道は弁へて居る。尤も中には忠孝も仁義も道徳も無視して居る者もあるけれども、これは外来思想にかぶれて居るから、さういふ事になつて居るのである。この日本の国体が判黙判つたならば、今日のやうに上下共に経済に苦しんだり或は赤魔に苦しんだりするやうな悩みは少しもない。皇道が徹底しないが為に、今日の如く上下共に行き詰りを来して居るのであります。
 海外の諸国を見ますと、独逸のやうな強い国があの世界戦争以来非常に衰微し、そして沢山の戦債を負はされて居り、国民は非常に苦しんで居る。中々日本の比ではないのであります。それが為に米国或は英国あたりが、総ての物を独逸に送つて居るけれっども、独逸は戦債に苦しんで購買力がない。
 そこで米国の大統領は、その独逸の戦債は仏蘭西なり伊太利から負うて苦しんで居るのであるから仏蘭西も英国も戦債の借金だけは許してやれと云うて居る。さうすると英国も仏蘭西も米国からそれ以上の戦債を負うて居るので『それはさうせぬ事はないが、先づ米国の戦債を帳消にして呉れ。さうしたら独逸のを帳消にしてやる』今日はかういふ様な揚合になつて居る。そして製産品はどうしても売捌く事が出来ないのである。英国も苦しんで居り、仏蘭西も独逸も米国も苦しんで居るのであります。
 日本の国は紡績だとか日用品の会社が多くて軍需品は余り造らないのであります。日本の品物は世界的に行く様になつて居ります。独逸であるとか或は米国あたりとかは、皆飛行機だとか自動車だとか軍艦だどか、さう云ふ物ばかりを造つて日用品の会社といふものは比較的尠い。それが為に米国も戦争がないといふと首が廻らない。米国の考へではどうか世界に戦争を起して自分の物を売らうといふのが目的であり、支那の尻を押して武器を供給したり、露国の尻を押して武器を買はしたり、或はもう一つ東洋に大きな戦争を起して金儲けをしようとしてゐる。然し到底日本と正面衝突したならば、勝目がない事は知つて居る。軍艦はなんぼあつても、どんな機械があつても、今日の所は魂といふものが無いから日本に負ける事は知つて居る。それで日本と戦争をするとか何とかいうては、政府に迫つて軍艦を拵へたりして自分の曾社を肥やさうとする。それでどうかして東洋に戦争を起させるやうに仕向けて居り、さうさせたいと思つて居る。これが大体米国の腹である。然し何処の国も皆経済が行詰つて居る。従つて旧本の国も経済が行詰つて居る。
 総て宗教を信ずるのも、仁義を守るのも、道徳を守るのも、根本は経済である。経済が豊かでないと云ふと義理をかいだり、或は人に怨まれる事も已むを得ず出来てくる。然しこの日本の国は行詰つて居るけれども、本然の日本の皇道と云ふ事を悟つたならば、五十億円や百億円位の借金なんか直ぐすんで了ふ。これは今日の為政者、経済学者には夢にも判らない事でありますが、私は約四十年間程皇道を調ベて、其中から皇道経済を発見したのであります。これも私が発見したのではない。お筆先によつて、それを基として悟つたのであります。その経済ですれば日本は世界一の富強国となり、国民はさう苦しまなくても、安楽に行ける所の結構な国なのであります。今日の経済学者や為政者は総て外国の精神が頭に入つて了つて居るので、今の方法より外にやり方がないと思うて居るが、西洋もその経済法を試みて行詰つたっその行詰つたやつを又日本がやつて居る。これはどうしても行詰るに極つて居る。
 非常時、非常時と云うて居りますが、戦争ばかりが非常時ではない、一斉に今年は非常時になつて居る。何時如何なる事が如何なる方面から出来るか判らないと思はねばならぬ。お筆先にも『何時どんな事があるか判らぬ』と書いてある。それで吾々はこの皇道をあくまでも天下に唱道し、一人でも皇道を叫ばせ、そして有事の日には愛善の精神をもつて総ての同胞を助ける。その為には今の中に充分身魂を練つて居つて貰ふ必要があると思ふのであります。
(昭和九・四・一六 神の国誌六月号)