出口王仁三郎 文献検索

リンク用URL http://uro.sblog.jp/kensaku/genshow.php?CD=10709&T1=&T2=&T3=&T4=&T5=&T6=&T7=&T8=

原著名出版年月表題作者その他
神の国 日本人目覚めよ 参照文献検索
キーワード: 精神物質文明 社会批判
備考: 月鏡 八幡-P.379 天声-P.21 昭03-11
ルビ付き本文:
王仁三郎資料センター
 
本文    文字数=2471

 オイツケンがどういつた、マルクスがかういつたのと、個々の人々の抱いた思想について、深くこれを究める事は専門家の仕事であつて、総ての人間が専門家同様の研究を重ねんとするのは無理である。普通の吾々などは、各学者の学説を通観しただけで常識的の頭を作らねばならぬ。少なくとも一瞥しただけでその取捨選択を誤らないだけの常識を持つてをらねばならぬ。政治の経過に於ても政治的歴史からみてもたいていわかることで、西洋諸国には古来幾回かの人種の大移動を繰り返して来た。前の人種を後の人種が全滅する、優等人種が出てこれに代はり、転滅戦につぐに全滅戦をもつて今日に至つたので、残虐の継続が今日を築き上げたものとみられる。そして西洋思想は実にここから生まれてゐる。
 地上の草木を知らうとするなら、まづもつてその土地を充分に調べてみなくてはならぬ。しかるに日本人にして、日本を知らないものがある。日本に生まれ、日本に育ちながら、日本の歴史、日本人の習慣性等については全くこれを知らうとさへ努めるもののなき現代である。日本人の言葉といへば浅薄なもの、西洋人の云ふ事なれば、必ずそれが真理であるやうに、早呑み込みするやうになつてしまつては始末に困る次第である。日本の刀剣についてさへ独逸に聞かなければ判らぬなどは沙汰の限りである。特に今日の青い連中の読物はすべて西洋のもの、語る所もまた西洋のもので、日本は昨日まで未開野蛮国であつたのだ、西洋のおかげで文明国になつたのだと思つてゐる。しかもこれらの連中は自他ともに知識階級と称して怪しまない。こんな事では日本の神国も前途はなはだ寒心の至りである。まづこの迷信を打破することに努め、日本人には日本固有の真の文明を知悉せしむる事が刻下の急務である。われわれ大本人が現代人から迷妄と罵られ、山カンと嘲笑されながらも、人類社会の為め国家国民の為めに昼夜不断の活動を続けてゐるのも、国家の前途を憂ふるのあまりに外ならないのである。