出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
神の国 小さい蒲公英 参照文献検索
キーワード: 自然
詳細情報:
一厘の蒲公英の花を見て、出直しを誓う
備考: 水鏡 八幡-P.298 天声-P.43 大15-06
ルビ付き本文:
王仁三郎資料センター
 
本文    文字数=1347

 大正十年二月の頃、皆の知つて居る通り私は京都監獄に居つた。或日の散歩に、枯草の中に咲いて居る一輪の蒲公英を見出した。ああ其一輪の花、それによつて私はどの位慰められたか分らなかつた。何と云ふ愛らしい花であらう。冬の寒い長い間百草も枯れて、何も無いやうに見える此花が、春の光を浴びると、眠つた如く見えた根からは青い芽が出で、葉が伸び、やがてはあの豊醇な乳を持つた美しい黄色や、白い花が咲くのである。何だか私の境遇に似て居るやうである。私は思ふた。たとへ此度の事によつて大本が潰れたとて、五十七才になつたら又元の六畳敷から初めやう、教祖様は五十七才にして初めて立たれたのだから……、かくこの一輪の花によつて慰められつつ、日を送つて居る中、やがて春の最中になつて、そこら一面蒲公英の花をもつて埋めらるるやうになつて来た。何等の慰めをも持たぬ囚人達は如何に此花によつて慰められた事であらう、朝に夕に花は囚人の唯一の愛の対象物であつた。然るに心なき園丁は掃除をするのだと云つて、皆此花を引きむしつて仕舞つた。