出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
朝日新聞 昭和10年12月8日【号外】p2(2) 参照文献検索
キーワード: 二次事件
 
本文    文字数=4677

全土に臨む大理想を描く
大本教とは何か?
京都府鹿何[何鹿]郡綾部町に天保七年に生れた出口直婆さんは明治二十五年以来神がかりだといつて物質万能の世を立直さねばならぬと神人の関係、霊主体従主義の警告、教訓及び予言等全部平仮名で書き綴つた所謂「お筆先」を多数作成し艮の金神その他の神を祀つてゐたところ現教主出口王仁三郎氏は明治三十二年直の末女すみの婿養子となつてその後多少の変遷はあつたが直のお筆先が自分の修得した霊学を骨子として大本言霊学及び大石凝真著「美の言霊学に」よつて解釈した古事記の主旨を加味して教義を組織しこれを皇道大本と名づけた
その教義は直に憑り移した艮の金神国常立命の神勅により政治宗教その他人世の経綸一切よう実行せんとする治教の一種だと称し幽顕両界の立替へ立直しをして将来世界統一の帝都を綾部に遷し出口家が祭祀長となつて神勅を受けると説き神社を祀り瞬くうちに大勢力を築き上げ殊に知識階級、軍人、官吏等が多数馳せ参じてゐたが
大正十年五月同教の宣伝機関誌で大正六年から綾部で発刊してゐた「神霊界」と題する雑誌中に皇室の尊厳を冒涜する不敬記事が多数掲載されてゐることが判明大検挙が行はれ出口王仁三郎氏、教義宣伝に当つた浅野和三郎氏、発行人の吉田祐定氏は京都地方裁判所で公判に付され大騒ぎであつた
 ○……
然しその後も同教の勢力は再びぐんぐん盛返して大正十四年から欧洲にも進出してパリに欧洲本部を置き又支那満洲の世界紅卍会と共同宗教戦線を張つて人類愛善会を設立して総本部を亀岡に置き「人類愛全新聞」を発行、更に全東洋の宗教界に君臨すべく支那の道教、救世新教、仏教、喇嘛教、道教、仏教、回教等を含む世界宗教聯合会を北平に設ける等物凄い勢ひで進出してゐる
 ○……
かくて大本教はかつての検挙による弾圧に一応鳴りをひそめてからは只管《ひたすら》海外進出に主力をおいてゐたが総本部を綾部に、活動機関本部を京都府亀岡町に置き同町の天恩師[郷]は明智光秀の旧城址二万余坪を擁し常に数百名が居住して光照殿月宮殿等数多の造営建築物をはじめ大祥殿といふ大道場、安生館といふ宿舎等修業者は益《ますます》殖え行く一方宣伝のための印刷工場を設ける等組織ある大運動の起訴はぐんぐん固められてゐる
内地には千数百の分院が各地至る所に設けられ六千の宣伝布教師が活躍し又昭和青年会は人類愛善会発展の前衛隊として活動し全世界各国にも多数の信者を獲得その数は非常に多く見られてゐる

昭和神聖会
奇矯な綱領
大本教の別働隊
【綾部電話】今回の大検挙により糾明の核心と見られて居る昭和神聖会は大本教の別働隊で出口王仁三郎氏を統監に、公爵二条基弘氏を総裁に、昨年一月二十三日東京で発会式を挙げ総本部を東京に、亀岡に本部を置いて全国主要都市にそれぞれ支部を置き又綾部には三本地方本部を設立し広く会員を募集して居た、昭和神聖会の綱領は左の通りである
一、皇道の本義に基き祭政一致の確立を期す
一、天祖の神勅並に聖詔を奉戴し神国日本の大使命の遂行を期す
一、万邦無比の国体を闡明し皇道経済、皇道外交の確立を期す
一、皇道の国政を信奉し国民教育指導精神の確立を期す
一、神聖皇道を宣布発揚し人類や愛善の実践を期す
以上の綱領により所謂皇道維新、祭政一致、皇道外交、人類愛善を提唱し又雑誌「神聖」を毎月発行、この外「祭政一致の大道」「華府条約即時廃棄」「機関説排撃」などのパンフレツトを多数頒布して居た
紙上には出口統監以下幹部等は所謂神聖会の綱領に基き政策諸説を発表して居るが出口統監の所説には皇道経済として紙幣一千億円を発行せしめ、五六年間は全く国民の諸税を免除し酒煙草の如き全部無税にすべしといふやうな驚くべき奇矯な説を発表してゐる